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韓国ドラマ、まさかの2話で打ち切り 中韓対立の炎上はキムチからエンタメへ

2021年4月2日(金)22時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

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『朝鮮駆魔師』の脚本家パク・ケオクの前作『哲仁王后』にも歴史わい曲の疑惑が...... Yonhapnews / YouTube

同じ脚本家の前回作品もやり玉に

この騒動を受け、これまで放送されたドラマ内での表現も再びピックアップされ、オンライン上で炎上する事態となっている。

tvNで2月まで放送された時代劇『哲仁王后』は、中国のウェブ小説が原作のドラマ化だったが、第2話でユネスコの「世界の記憶(Memory of the world)計画」にも登録された歴史書「朝鮮王朝実録」を侮辱するセリフが登場し大炎上してしまった。

さらには、この原作を書いたWEB小説家・鲜橙の過去作『和亲公主』には、韓国に否定的な表現が書かれており作者の嫌韓も噂された。なにより脚本を担当したのが『朝鮮駆魔師』と同じパク・ケオク氏ということで、批判の目が向けられたようだ。

ドラマ内での中韓に関した表現が炎上するのは何も韓国ドラマだけではない。兵役問題で韓国入国を拒否された韓国人俳優ユ・スンジュンが出演し、話題を集めた中国の時代劇『成化十四年』は、放送が開始されるとすぐに韓国内で非難が集中した。

冒頭に紹介したドラマ『朝鮮駆魔師』とは逆パターンで、こちらでは韓国の伝統衣装「韓服」が、まるで中国の物であるかのように着用されていたのだ。ネット上では、これは文化の盗用であると多くの人々が声を上げ炎上した。

韓国ドラマで中国製のビビンパ?

また、時代劇以外に現代劇でも新たな中韓問題が勃発中だ。中国資本の作品が増え、劇中に中国企業の商品が不自然に登場するPPL広告(Product Placement:スポンサー商品を小道具として画面に映し出す広告手法)が多発し、批判を集めている。

TV放送開始と同時にNetflixにて世界配信中の話題作『ヴィンチェンツォ』では、3月14日放送分で突然中国製のビビンバが登場し、主人公たちが食べるシーンがあった。韓国料理のビビンパだが、なぜか出てきたのはプラスチック製パッケージに中国語が全面に書かれたインスタント食品で、一見中国料理と見間違いそうな場面だった。

文化のビビンパは要らない

他にも、韓国の大人気WEB漫画原作ドラマ『女神降臨』では、主人公たちがコンビニの前のベンチで食べるインスタント食品が中国製品であったり、バスを待つ停留所の看板や、お店に貼られているポスターが中国語で書かれてあったりと、そこだけを切り取った画面を見れば韓国というよりも、まるで中国ドラマのような印象を受ける。

作品の質を上げるためには、お金の問題は切っても切れない。協賛スポンサーのPPL商品をいかに自然に劇中に取り込めるかは脚本家と演出家の力にかかってくるが、資本のグローバル化が進む昨今では、外国商品が登場するようになってその難しさは増しているように感じる。視聴者がストーリーよりもPPLの違和感が気になってしまい画面に向かって思わずツッコミを入れてしまうようでは、元も子もないのだ。

筆者は現在、アメリカに住んでいるが、ここでは日中韓など区別されることなく「アジア人」とひとくくりにされることが多い。アジア風のインテリアやアート作品を見ていても、全ての文化がごっちゃにされて「何だこれは?」という出来上がりにがっかりしてしまう事もよくある。

今、世界から注目を集める韓国コンテンツがアジア文化をごちゃ混ぜにしてしまっては、アジア以外の人たちへ文化の混乱を届けてしまう。それぞれの文化が素晴らしいのだから、無理矢理ごちゃ混ぜにして文化のビビンパにする必要はない。

作品を作るうえで、全ては「良い作品を生み出すこと」が一番の根底にあるべきである。そのためにお金がある国が出資をし、有能な人材が国を越えて協力し合い素晴らしい作品を世に誕生させることには大賛成だ。しかし、今回取り上げたドラマはそれぞれの文化について注意深く取り扱わなかったために、むしろ裏目となって対立を生んでしまっている。文化の異なる人びとが集まって本当に「良い作品を作る」という共通の目標に向かって進んでいるのか冷静に見つめなおす必要があるのではないだろうか。

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