最新記事
日本食

世界が注目する地方の和食文化──食団連が語る外食産業の持続可能な未来

2025年3月31日(月)11時00分
写真:林 直幸 文:室井康裕
左から、一般社団法人日本飲食団体連合会 副会長の山下春幸氏、同事務局長の家中みほ子氏

左から、一般社団法人日本飲食団体連合会 副会長の山下春幸氏、同事務局長の家中みほ子氏

<世界的に評価される日本の食文化。コロナ禍の終息とともにインバウンドが急増し、外食産業は再び存在感を取り戻しつつある。一方で物価高や中食の普及などを要因とする「食スタイルの多様化」により、国内消費はコロナ前の水準には戻っていない。そこで「日本の食」の文化的意義と今後の展望について、一般社団法人日本飲食団体連合会(以下、食団連)の副会長・山下春幸氏と事務局長・家中みほ子氏に話を聞いた>

「どこまでが和食?」日本人とインバウンドで異なる認識

──今や日本は世界有数の美食の国として評価されています。その評価に対してどのようにお感じになりますか?

山下春幸(以下、山下) 私自身、国内外に和食店を展開しているのですが、和食は確実に世界的に評価されていると実感しています。今や世界中の主要ホテルの多くに和食店が入っているくらいですから。また、大使館で出す料理に関しても、以前はフレンチが中心だったのですが、近年では和食を出す機会が多いようです。それだけ和食に対する認知度が高まってきている証だと思います。

家中みほ子(以下、家中) 実は「和食」自体の定義が曖昧なのは課題だと感じていまして。日本人からすると、和食というと懐石料理や普段口にする家庭料理などイメージしますが、海外の方にとっては寿司や天ぷらはもちろん、ラーメンや焼肉なども和食と捉えている節もあります。

山下 海外では海老チリなどの和製中華も和食ですから(苦笑)、そこは難しいですね。私はそれぞれの地域文化が郷土料理とミックスされた料理、これを和食と呼ぶことにしています。

家中 「ぐるなび」で35歳以下の料理人のコンペティションを開催しているのですが、以前は和食料理人の方のエントリーが少ないという課題がありました。他の料理ジャンルと比較して修業期間が長く料理人が育っていないなど、お店の事情などさまざまな要因はあると思うのですが、ようやくここ数年は和食の料理人のエントリーが増え、上位の成績を収めるようになってきました。これは明るい兆しかなと感じています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米債市場の動き、FRBが利下げすべきとのシグナル=

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中