仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテンの正体
CRYPTO’S UNHOLY CHOIR
仮想通貨のおかげで、支払いや送金の手数料がずっと安くなるという主張も最近よく聞く。確かに一理あるが、仮想通貨やブロックチェーンの力を借りなくても、ネット銀行やフィンテック企業との競合で手数料引き下げの動きは既に始まっている。
つまり仮想通貨は「問題なき解決策」のままだ。ただし目新しいことが1つ。ペテン師やデマゴーグ(扇動者)や独裁者が今や声をそろえてそうではないと叫んでいる。
支持派は論点をすり替えている
ペテン師は、真実とは別のことを語る。仮想通貨は邪悪な政府への依存度を減らすと言われたが、実際には仮想通貨業界は政府の「最高インフルエンサー」と化している。昨年の米大統領選・議会選に向けた選挙戦期間中、仮想通貨業界の寄付金は企業献金総額の半分近くを占め、業界を支持する特別政治活動委員会(スーパーPAC)、フェアシェイクは2億ドル以上を献金した。
デマゴーグは実現できない約束をする。仮想通貨支持者で、トランプ次期政権で政府効率化省を率いるイーロン・マスクは、連邦予算を「少なくとも2兆ドル」削減すると言う。だが連邦歳出の88%を占めるのは、給付金や利払い、防衛費だ。経済学者のジェフリー・フランケルが指摘するように、たとえ非防衛関連の裁量支出を全額カットしても2兆ドルには到底及ばない。