最新記事
経済

仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテンの正体

CRYPTO’S UNHOLY CHOIR

2025年1月7日(火)12時17分
アンドレス・ベラスコ(元チリ財務相)

仮想通貨のおかげで、支払いや送金の手数料がずっと安くなるという主張も最近よく聞く。確かに一理あるが、仮想通貨やブロックチェーンの力を借りなくても、ネット銀行やフィンテック企業との競合で手数料引き下げの動きは既に始まっている。

つまり仮想通貨は「問題なき解決策」のままだ。ただし目新しいことが1つ。ペテン師やデマゴーグ(扇動者)や独裁者が今や声をそろえてそうではないと叫んでいる。


支持派は論点をすり替えている

ペテン師は、真実とは別のことを語る。仮想通貨は邪悪な政府への依存度を減らすと言われたが、実際には仮想通貨業界は政府の「最高インフルエンサー」と化している。昨年の米大統領選・議会選に向けた選挙戦期間中、仮想通貨業界の寄付金は企業献金総額の半分近くを占め、業界を支持する特別政治活動委員会(スーパーPAC)、フェアシェイクは2億ドル以上を献金した。

デマゴーグは実現できない約束をする。仮想通貨支持者で、トランプ次期政権で政府効率化省を率いるイーロン・マスクは、連邦予算を「少なくとも2兆ドル」削減すると言う。だが連邦歳出の88%を占めるのは、給付金や利払い、防衛費だ。経済学者のジェフリー・フランケルが指摘するように、たとえ非防衛関連の裁量支出を全額カットしても2兆ドルには到底及ばない。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

加との貿易交渉「困難」、トランプ氏の不満高まる=N

ワールド

ロシア中銀、0.5%利下げ 米制裁で不確実性高まる

ワールド

カナダ首相「再開の用意」、トランプ氏の貿易交渉終了

ワールド

米、カリブ海で「麻薬船」攻撃 初の夜間作戦で6人殺
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    韓国で「ふくしま」への警戒感払拭? ソウル「日韓交流…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中