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「ポスト黒田」に「植田新総裁」が望ましい訳──世界最高の経済学を学んだ男の正体

The Unexpected Man

2023年2月22日(水)15時30分
浜田宏一(米エール大学名誉教授、元内閣官房参与)

ところがコロナ禍で諸市場が働かなくなるのを防ぐため、アメリカで財政支出が増加してインフレ要因となった。またロシアのウクライナ侵攻への制裁でガソリン価格が上がり、世界が一転してインフレ気味となり、その抑制のため高金利も生じる。そうなると、日本のように長期国債金利をゼロ近くに固定するような政策と、インフレを高い短期金利で制御しようとするアメリカとの格差が過度なドル高、円安を生むようになる。

この事態への対応には2つの考え方がある。第1に、アベノミクスの開始まで日本は長い間円高に苦しんできたのだから、円安が景気に反映するまでイールドカーブ調整を続けたらよいという考え方である。これがおそらく黒田総裁の考え方であろう。もう1つは、イールドカーブ調整にこだわりすぎずに、為替レートの乱高下を避けるため短期金利を上下する伝統的な金融政策に少なくとも一部、あるいは一時転換せよとの考え方である。

昨年7月の日経新聞への寄稿記事によれば、植田氏は玉虫色ではあるが、第1の考え方に近いかのように見える。しかし私は過去にこだわらず、現在の情勢を注視して自由に決めてほしいと思う。新総裁が誕生すれば、黒田日銀の10年間はいったん一区切りとなる。新総裁は過去の決定に縛られずに、いわば「白地に絵を描ける」立場になるはずだからである。

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