最新記事

ビジネス

アイデアが次々と沸く会議と、空気が固まる会議の違いとはなにか

2022年10月7日(金)11時42分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
活発な会議

Rawpixel-iStock

<生まれながらの天才でなくとも、創造力を発揮して画期的なアイデアを生みだす人になる方法はある。私たちが見習うべき「お手本」はいったい誰なのか?>

エッセイ『女ふたり、暮らしています。』が評判となった韓国の作家、キム・ハナ。その彼女が、コピーライターとして培った発想力やアイデアの原点について記した本『アイデアがあふれ出す不思議な12の対話』が先日、日本でも翻訳出版された。一方的に「ああしなさい」「こうしなさい」と押し付ける自己啓発書でも、単純な法則やハウツーでもなく、真夜中のバーで語り合う男女の対話形式で記した発想力を養う「アイデアの本質」が詰まった1冊だ。

ここでは、決して天才ではないわれわれが、創造性を発揮してアイデアを生むためのヒントとなる部分を『アイデアがあふれ出す不思議な12の対話』から全3回にわたって抜粋して紹介する。今回は、その第3回。
第1回:「天才に学ぶ」類のアイデア本が、凡人には役立たない理由
第2回:ジミヘン、カート・コバーン、エイミー・ワインハウス...天才は「27歳で死ぬ」が条件?

アイデアがあふれ出す不思議な12の対話
 著者:キム・ハナ
 翻訳:清水 知佐子
 出版社:CCCメディアハウス
 (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

◇ ◇ ◇


私はいくつものプロジェクトをいろんな人たちとやってみたからよくわかるんですが、アイデアがあふれ出るかどうかは場の雰囲気に左右されます。硬直した雰囲気の中では、いいアイデアが出ても盛り上がりません。お互いにアイデアをやりとりしながら小さなアイデアを集めて肉付けしていると、こうやってみようか、ああやってみようかと意欲が湧いてきて、その発想を転がしているうちにまた新しいアイデアが飛び出したりします。

誰もがアイデアの種に対して開かれていて、それを持っていって自分の中に植えることができなければなりません。どんなに小さなアイデアでも、輝いていたなら、「あ! それいい!」と感動することが重要です。そうやってこそ、互いの森が出会ってもっと大きな森をつくることができるのです。そうして出来上がったものには、そんなオープンな空気が漂っています。

――あ、それは僕にもわかります。ある日の会議ではアイデアが次々と湧いてきて、ある日の会議では不思議なことに空気が固まって沈みます。ある人が加わると、なぜか気おくれすることもあるし、反対に、ある人と一緒だとふだんよりすらすら言葉が出てくることもあります。

――そうなんです。創造力にいちばんよくない態度は冷笑です。冷笑的な人が一人か二人いるだけで、アイデアの種をやりとりする通路は凍りついてしまいます。雰囲気は思った以上に大切です。それは、流れを円滑にするブースターみたいなものなのです。新しく生まれるアイデアは繊細で弱々しいものです。荒っぽく扱ってはダメだし、アイデアに好意的な雰囲気を作らなければなりません。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪ボンダイビーチ銃撃、容疑者親子の軍事訓練示す証拠

ビジネス

英BP、豪ウッドサイドCEOを次期トップに任命 現

ワールド

アルゼンチンの長期外貨建て格付け「CCC+」に引き

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米ハイテク株安受け半導体
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中