最新記事

インフレ

インフレでしぼむチョコレート需要 メーカーは「シュリンクフレーション」で対応

2022年7月20日(水)14時00分
高級チョコレート

生活費の上昇にあえぐ欧米の消費者がチョコレートへの支出を削っていることが、最新のデータやメーカー大手幹部への取材で明らかになった。写真はブリュッセルで2019年4月、ヴィタメールのチョコレート・ワークショップで撮影(2022年 ロイター/Yves Herman)

生活費の上昇にあえぐ欧米の消費者がチョコレートへの支出を削っていることが、最新のデータやメーカー大手幹部への取材で明らかになった。

米チョコレート大手ハーシーの投資家広報(IR)担当バイスプレジデント、メリッサ・プール氏はロイターの取材に対し、過去数カ月間で米国のチョコレート価格は「1桁台後半から2桁台前半」の上昇を示した一方、数量ベースの販売は2―3%減少したと明かした。

ハーシーは以前から需要が減速すると予想していたが、足もとで販売が落ち込むまでは「消費者はほとんど消費を減らしていなかった」という。

小売店のPB商品が販売増やす

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)終盤、他の多くの消費財と同じくチョコレート販売は増加し、特に米国でその傾向が顕著だった。景気刺激策に伴う政府からの給付に支えられたほか、まとめ買いなど「出無精のライフスタイル」が定着したことが背景にあった。

しかし、ここに来て一部消費者の行動に変化が見られるという。例えば店舗で何パックも入った商品を買うのではなく、ばら売りのキャンディーバーを選ぶといった変化だ。

市場調査会社IRIの調べでは、6月12日までの13週間に米国のチョコレート販売は数量ベースで前年同期比1.5%減少した。この間、価格は8.2%も上昇している。

IRIのプリンシパル、ダニエル・サドラー氏は「チョコレート消費は価格に敏感になっていくだろう。消費者は今後もチョコレートを買うが、より小さいサイズで我慢するようになる。販売数量が減っているのはそのためだ」と語った。

IRIのデータでは、有名メーカーの商品よりも安い、小売店のプライベートブランドのチョコレートの販売数量が過去半年間に8%増加したことも分かった。

コンサルティング会社マッキンゼーの調査では、英国の消費者の40%は5月半ばまでの4─6週間で、以前より安い菓子類に移行した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの過激衣装にネット騒然

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 10

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中