最新記事

仮想通貨

値下がりでもビットコイン保有者は「ガチホ」へ、一方でイーサリアムは「黄信号」

2022年2月28日(月)18時35分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)
ビットコインとイーサリアム

proxyminder-iStock

<ブロックチェーン上の傾向から読み解く直近の「オンチェーン分析」で見えたのは、ビットコイン派とイーサリアム派の相反する動きだった>

最近のビットコインは、不規則な動きを見せつつもどんどんと狭いレンジでの値動きになっています。こうした相場は「chopsolidating(不規則な保ち合い相場)」と呼ばれますが、背景にあるのは不透明なマクロ経済要因でしょう。

ウクライナ情勢をめぐり地政学リスクが高まる中、仮想通貨市場参加者もどのように行動すれば良いのか迷っているのかもしれません。3月に見込まれている米連邦準備理事会(FRB)の利上げを気にする投資家も多いでしょう。

クラーケン・インテリジェンスのオンチェーン分析によりますと、ビットコインが強気なシグナルを維持する中、イーサリアムの雲行きが怪しくなり始めました。

オンチェーン分析は、仮想通貨の取引量やアドレス数などブロックチェーン上で確認できる取引記録の傾向を分析して現在の相場動向を読み解く手法です。今回は、取引所へのビットコインとイーサリアムの流入数の増減に注目します。

取引所から流出するビットコイン

一般的に仮想通貨を保管する場所には、取引所とウォレットの2つがあります。クラーケンなど取引所は、法定通貨と仮想通貨を交換する場所であり、ウォレット、とりわけハードウェアウォレットは、法定通貨への交換はできませんがインターネットに接続せずに仮想通貨を保管できる場所です。

このため、一般的に、投資家が取引所に仮想通貨を預ける理由は「すぐに法定通貨に交換すること」であり、ハードウェアウォレットに預ける理由はハッキングなどを恐れずに「長期的に保有し続けること」であると言えます。

今月、ビットコインが3万8000ドル〜4万ドルのレンジで推移する中、取引所からビットコインの流出が引き続き観察されました。これは、ビットコイン価格がまだ上昇するだろうと楽観的な観測をもとに、取引所ではなくハードウェアウォレットでビットコインを持つ投資家の数が増えていることを示唆します。

220222krk_ocf02.png

(出典:Kraken Intelligence, Glassnode「ビットコイン価格(紫の折れ線グラフ)、ビットコインの取引所へのネットポジションの変化がプラス(緑)、ビットコインの取引所からのネットポジションの変化がマイナス(赤)」)

取引所のネットポジションの変化は、取引所が保有する仮想通貨の30日間の変化量を示します。プラスであれば該当する仮想通貨が流入、マイナスであれば流出したことを意味します。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中