最新記事
ゲーム

世界最大2.5兆円の中国eスポーツ市場に激震 規制強化で天才プレーヤー発掘困難に

2021年9月13日(月)11時30分
ロイター
中国のeスポーツチーム「侠盗勇士」のプレーヤー

中国は世界最大のeスポーツ市場で、チームの数は5000余りと言われる。しかし政府の新規制で、プロプレーヤーのチャンさんのようなキャリアを目指すのは難しくなるだろう。写真はeスポーツチーム「侠盗勇士」のプレーヤー。オンラインバトルゲーム「伝説対決」を練習している。上海で3日撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

上海を拠点とするeスポーツチーム「侠盗勇士(Rogue Warriors)」のメンバーはガラス張りの会議室で、ときに食事を挟みつつ、スマートフォンをたたき、午前11時から深夜までトレーニングに励む。

騰訊控股(テンセント・ホールディングス)のオンラインバトルゲーム「伝説対決(Arena of Valor)」のプロプレーヤー、チャン・カイフェンさん(19)は「1日24時間のうち15時間はビデオゲームをしているよ」と話す。ゲームの腕を保つには長時間プレーすることが必要だという。

ビデオゲームを用いた対戦競技の「eスポーツ」。中国は世界最大のeスポーツ市場で、チームの数は5000余りと言われる。しかし、ゲーム中毒の抑制を狙う政府の新規制で、チャンさんのようなキャリアを目指すのは難しくなるだろう。

中国政府はゲーム企業に18歳未満のネットゲーム利用を週3時間に制限するよう求め、10代の若者から怒りの声が上がっている。これまでの利用制限は平日が1.5時間、週末が3時間だった。

eスポーツのトッププレーヤーは10代のうちに発掘され、20代半ばで引退するのが一般的。専門家によると、トレーニングの激しさは五輪の体操選手や飛び込み選手並みだ。

米ライアット・ゲームズのオンラインバトルゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」のプレーヤーとして世界的に有名なウー・ハンウェイさんは14歳でプレーを始め、16歳でチームに加入した。

北京大学電子工学・コンピュータサイエンス学部のチェン・ジャン准教授は「規制強化により、若者がeスポーツ界でプロのプレーヤーになるチャンスは、ほぼなくなった」と話した。

今回の規制強化は、eスポーツという中国の巨大産業の土台をむしばみもする。eスポーツのトーナメントは10億ドル規模のスタジアムで開催されることが珍しくなく、対戦の様子は多くの視聴者にライブでストリーミング配信される。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中