最新記事

中国経済

対米貿易戦争が直撃 中国メーカー「苦肉」の生き残り策

2019年5月7日(火)11時08分

貿易障壁に直面する中国の製造業は、海外顧客を維持しようと、値引きの提示や免税措置の活用、人材削減など、さまざまな作戦を展開しつつある。写真は2018年4月に開催された貿易展示会「広州交易会」(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

貿易障壁に直面する中国メーカーは、海外顧客を維持しようと、値引きの提示や免税措置の活用、人材削減など、さまざまな作戦を展開しつつある。中には、関税を回避するため生産拠点を海外に移転する例も見受けられる。

米中貿易戦争による報復関税の応酬は、多くの企業にコスト増をもたらした。欧州連合(EU)が、電動バイクから太陽光パネルに至る中国製品に関税を課したことも中国製造業の悩みを深めている。

3月に入り、業界にとって明るいニュースが相次いだ。鉱工業生産は2014年半ば以降、最も高い伸びを示し、輸出が予想以上に回復したほか、第1・四半期の経済成長率も予想を上回った。

それでも、米国向け輸出に依存する一部企業とっては苦境が続く。中国南部で今月開催された貿易展示会「広州交易会」では強気姿勢を示した企業も、貿易を巡り米中政府が合意に達しなければ、さらなる生き残り策を講じる必要が出てくることを懸念している。

泊頭にあるBotou Golden Integrity Roll Forming Machineの営業担当者ホープ・ハ氏によれば、関税導入により軽量鋼桁や建躯体用の棒鋼を製造する同社製の機械価格が上昇し、米国顧客の一部を失ったという。

同社は現在、売上促進のために8%の値引きを提示している。

「顧客が高い輸入関税を払う羽目になったので、こちらが値引きを提示しなければならない」とハ氏は言う。

ボールベアリングを製造するCixi Fushi Machineryのジェーン・ワン代表によれば、同社は長期契約の顧客に対して3─5%の値引きを提示したという。だが、それでも十分ではなく、同社は月間3万ドルの売上を稼いでいた生産ラインを一時停止したと同氏は話している。

「(米中)合意を待つことになるだろうし、そうすればまた再開するだろう」と彼女は言う。現時点では、主力市場である中東地域に注力している。

コスト上昇分の価格転嫁に成功した企業もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中