最新記事

租税回避

NYの高級不動産が新たな資産隠し場所に

規制が厳しくなったスイスの秘密口座の代わりとして富裕層から引っ張りだこ

2014年7月18日(金)12時47分
アリソン・グリスウォルド

資金洗浄も ひとたび不動産に化ければ資金の出所はわからない仕組み Spencer Platt/Getty Images

 富裕層の資産隠しといえばスイスの銀行の秘密口座が有名だが、それに代わる「新商品」として人気なのがニューヨークの不動産市場だ。いくつものダミー会社と見て見ぬふりをするブローカーや弁護士のおかげで、国外富裕層の資金がニューヨークの高級物件に流れ込んでいる。

 この現象を報じたニューヨーク誌によれば、ひとたび資金が不動産に化ければ、資金の出所はほぼ特定不可能になる。

 だがニューヨークの不動産が裕福な外国人のための「租税回避地」になる一方で、米財務省はアメリカ人には外国口座に関する情報開示を強化している。

 先週、アメリカ人の租税回避を防止するための外国口座税法遵守法(FATCA)が発効した。これにより国外の銀行や金融機関はアメリカ人の口座保持者を内国歳入庁(IRS)に報告しなければならなくなった。これまで7万7000以上の機関がIRSに登録している。

 FATCAの実施は、富裕層の資金を秘密裏に扱うスイスの銀行の終わりを意味する。スイス最大の銀行であるUBSとクレディスイスは、既に米司法省の捜査を受け、脱税を助けたとして罰金を科されている。

 FATCAで特に打撃を受けるのは、国外の資産が多い国外在住者だ。13年にアメリカ国籍を放棄する人の数が記録的に増えたのは、これが原因かもしれない。

 そうだとしたら、彼らの資金はマンハッタンの高級マンションの購入という形でアメリカに戻ることになるだろう。

© 2014, Slate

[2014年7月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豪CPI、1月は前月比0.4%上昇 コアインフレ加

ビジネス

1月企業向けサービス価格、前年比2.6%上昇 前月

ワールド

中国春節の9連休、国内旅行と消費支出を押し上げ

ビジネス

グーグル、データセンター向けに米電力会社2社と契約
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中