最新記事

ネット

グーグル・バズ、苦情殺到ごめんなさい

Gメールの個人情報が勝手に公開されてしまい、早くも新サービスの修正と謝罪に追い込まれたグーグルだが

2010年2月16日(火)16時41分
クリス・トンプソン

勇み足? 2月9日、グーグル・バズを発表した共同創業者セルゲイ・ブリン Robert Galbraith-Reuters

「バズ(Buzz=噂話)チームにとって、刺激的で試練続きの一週間だった」──「グーグル・バズ」の製品マネジャー、トッド・ジャクソンは13日、公式ブログでこんな風に謝罪の言葉を切り出した。新サービスを使おうとしたGメール・ユーザーの個人情報が、意図しない形で公開されてしまった件についてだ。

 Gメールのサイト上で友だちと情報を共有できるグーグル・バズは、フェースブックに対抗するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)として2月10日にサービスを開始したが、プライバシーに関わる情報が勝手に公開されてしまうと苦情が殺到。13日、ジャクソンは主な修正点を発表した。

 最もひんしゅくを買っているのは、バズの自動フォロー機能だ。バズのユーザー登録をすると、最も頻繁にGメールやチャットのやりとりをしている相手40人が自動的にフォロー先として登録され、グーグル上の自分のプロフィール・ページに公開される。

 グーグルの技術者は最初、これは親しい友だち同士を結びつける完璧な方法だと思った。Gメールは友だちとの連絡だけでなく、ありとあらゆる目的のために使われるのだが、そのことには思い至らなかったようだ。たとえば医師は患者と連絡を取るためにGメールを使うが、どんな医師に診てもらっているかを知られたくない患者も多いだろう。

 グーグルは先週も問題に対処しようとした。バズに登録しようとする人向けに、自動フォロー設定の意味とその解除方法を前より目立つ形で告知したのだ。だが、そんなことではユーザーの不満は収まらなかった。ジャクソンは、自動フォロー機能は死んだと宣言。代わりに、最も頻繁に連絡をする40人のリストをユーザーに届け、フォローしたいかどうかはユーザー自身が決められるサービスを始めるという。

Gメールとの分離は免れたものの

 さらに、画像管理サービス「ピカサ」やRSSリーダーの「グーグル・リーダー」の共有アイテムをバズのプロフィール欄で公開する機能も停止した。最終的には、Gメール上でバズを隠したり使用できなくするソフトも公開した。

 ジャクソンの言う通り、刺激的で試練に満ちた1週間だったことは間違いない。12日の時点ではバズをGメールから分離するという噂さえあった。

 幸い、そんな最悪の事態は避けられたが、個人情報の扱いという点では完全な失態だった。「すぐに何かがおかしいと気が付いた」と、ジャクソンは書く。「我々が原因でご心配をおかけしたことは申し訳ない。ユーザーからの苦情を基に、精一杯製品の改善に取り組んでいる」

 グーグル・バズはこれからどうなるのだろう。ワシントンのプライバシー保護団体エレクトロニック・プライバシー情報センターは今も、米連邦取引委員会(FTC)に苦情を申し立る方針だ。

 一方、ニューヨーク・タイムズ紙の取材に応じたオンライン専門誌サーチエンジン・ランドのダニー・サリバン編集長は、バズを試した人が数百万人いたことに着目してこう言う。「グーグル・バズはすでに、成功しつつあるのではないか」

*The Big Money特約
http://www.thebigmoney.com/

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランとイスラエル、再び互いを攻撃 米との対話不透

ワールド

米が防衛費3.5%要求、日本は2プラス2会合見送り

ビジネス

トヨタが米国で値上げ、7月から平均3万円超 関税の

ワールド

トランプ大統領、ハーバード大との和解示唆 来週中に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 6
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 7
    ジョージ王子が「王室流エチケット」を伝授する姿が…
  • 8
    イギリスを悩ます「安楽死」法の重さ
  • 9
    中国人ジャーナリストが日本のホームレスを3年間取材…
  • 10
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中