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アップル

iPhoneアプリ開発者の貧乏度

2009年10月19日(月)11時46分
トニー・ダコプル

 世界で最もホットな多機能携帯電話iPhone向けのソフト開発は、マニアがひと山当てることのできる新ゴールドラッシュだと宣伝された。アップルが専用ソフトを配信するアップストアを始めて1年半たつが、何人の大金持ちが生まれたのだろうか。

 アップルは発表しないが、12万5000人の開発者の大半は利益を出せないでいるらしい。人気ゲームの開発者の利益でさえ、一般の想像をはるかに下回る。初期投資すら回収できない例も多い。

 米調査会社フォレスター・リサーチによると、ソフトの開発コストは平均2万~15万ドルだが、価格は1個2.5ドル。アップルは初めて持ち込まれたソフトの60%を採用しない。これまで採用された8万5000のソフトのうち、元が取れると思われるのは数百だけだ。

 起業家デーブ・バーナードは親から2万4000ドルを借り、出張するビジネスマン向けに車の走行距離と経費を記録するソフト「トリップ・カビー」を開発。3カ月で4万5000ドル以上を売り上げた。だがプログラマーや作画者、マーケティング担当者の報酬や法的手続きの費用に加え、アップルに売り上げの30%を手数料として支払った。バーナードは生活のために車を売った。

 最近はグーグルやマイクロソフトもソフト販売のショップを開くようになり、アップルに不満を持つ開発者に選択肢が広がった。今度こそ新・新ゴールドラッシュになるといいが。

[2009年10月21日号掲載]

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