最新記事

ルラの後継者を決める「退屈」な大統領選

ルラ後のブラジル

新大統領で成長は第2ステージへ
BRICsの異端児の実力は

2010.09.28

ニューストピックス

ルラの後継者を決める「退屈」な大統領選

2010年9月28日(火)12時00分
マック・マーゴリス(リオデジャネイロ支局)

 ブラジルでは、10月3日に行われる大統領選に国民の注目が集まっている。02年の大統領選では左派野党、労働党の名誉党首ルイス・イナシオ・ルラ・ダルシバが勝利したが、当時はようやく経済が回復へ向かい始めたところで労働組合出身のルラが大統領になることへの懸念が高まった。だがルラは見事に経済を回復させた。

 今やGDPが2兆ドルに達するブラジルで、ルラに代わる新大統領を目指す候補は2人。1人はルラが自ら後継者に選んだ元左翼ゲリラのディルマ・ルセフ前官房長官。もう1人は中道左派の前サンパウロ州知事ジョゼ・セラだ。

 世論調査では、2人の支持率は五分五分。ルセフは、ルラの中道路線を継承するためゲリラとの関係は絶ったと世間にアピール。一方のセラは、ルラ政権に極めて批判的な姿勢を取っているが、実績があるルラに比べれば経済学者のセラのほうが国民に信頼を訴えなければならないと笑う人もいる。

 変化を求めない世論のムードは、中南米の政治が成熟した表れとも言えるだろう。10年以上前にベネズエラのチャベス大統領が21世紀型の社会主義革命を掲げて登場し、イデオロギー戦争が激化したが、そんな時期は終わったようだ。

 アルゼンチンやボリビアを除けば、中南米諸国の大半が急速に中道路線へと移行している。チリとコロンビアで今年行われた選挙では保守派が勝利。パラグアイやウルグアイなど、急進的ではない社会主義が主流派を占める国も穏健路線を歩んでいる。

 こうした状況を生んだのはブラジルだ。自由市場のルールに従い、インフレ率と国の債務を低く抑える──ルラがこの信条を固く守った結果、ブラジル経済は安定した。ルセフもセラもルラと同じ路線の政策を唱えている。「チェンジ」なき退屈な選挙こそ、今のブラジル国民の望みかもしれない。

[2010年7月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

エプスタイン問題は「人道に対する罪」に相当も、国連

ワールド

米国立公園の歴史・科学展示撤去に反発、環境団体らが

ワールド

AI関連大型株、タイガー・グローバルなどが保有削減

ワールド

米移民政策、支持率が過去最低に 男性の間で顕著に低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 5
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中