ウクライナ

ゼレンスキー「プーチンのいちばん恐ろしいところ」を語る

2022年7月27日(水)14時59分
キャサリン・ファン

妻のオレナと共にインタビューに答えるゼレンスキー。笑みもこぼれる The Telegraph/YouTube

<ウクライナのゼレンスキー大統領は英ジャーナリストのインタビューで、プーチンの恐ろしさと戦争責任について語った>

ウクライナに侵攻したロシア軍と戦うこと数カ月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、最も恐ろしいと思うことを明らかにした。

イギリスのジャーナリスト、ピアーズ・モーガンとのインタビューで、ゼレンスキーは、現在進行中のウクライナでの戦争で「最も恐ろしいこと」は、ロシアの侵略が引き起こした惨状を、プーチンが理解していることだと語った。

「プーチンは狂人というわけではなくまったく正気で、自分が何をしているのか理解している。それが最も恐ろしいことのように私には思える」と、ゼレンスキーは言う。「彼は自分のしていることを理解し、自分が人を何人殺したかを知っている。何人がレイプされたか、何人の子どもが殺され、祖国を追われたかを知っている」

さらにゼレンスキーは、「この状況を生み出し、このような人物の出現を許したのはこの世界だ」と言い、だからウクライナでの戦争の責任は「全世界」にあると述べた。

一緒にインタビューに応じたゼレンスキーの妻のオレナ・ゼレンスカ夫人は、プーチンに対する気持ちを「言葉にするのは難しい」と述べた。

「たった一つの曲がった考えが、全人類を中世に投げ込んでしまうなんて、理解できない」と、彼女は語った。「本当に何と言っていいかわからない。この状況を言い表す正常な言葉が存在しないので、声に出して何も言いたくない」

【写真】戦争中にVOGUEに出たゼレンスキー夫妻 これも情報戦の一環?

ジョンソン首相との絆

最近、イギリス議会の反発で退陣に追い込まれたボリス・ジョンソン首相のことを、ゼレンスキーはウクライナ戦争の渦中で最も近しい盟友だった、と呼んだ。

「われわれは1日おきに連絡を取り合った」と、ゼレンスキー。「公的な外交ルートだけではない。2日に1回は電話をかけることができた。キエフ占領後、状況が少し落ち着いた後は、週単位で連絡を取り合うようになった。月に1回、半年に1回という程度のつながりではない」

ジョンソンとの親密な関係から、ゼレンスキーは次に誰がイギリスを率いるのかを「心配」していると言い、ジョンソンの後任候補のリシ・スナク前財務相とリズ・トラス外相のどちらからも「同じレベルの支援」が得られることを望む、と付け加えた。

イギリスの政治に翻弄されることなく、ゼレンスキーはジョンソンを「ウクライナの大親友」と呼んだ。

「ジョンソンには、政界のどこかで重要な地位についてほしい。このまま消えて欲しくはないが、その決定はイギリス人の手に委ねられている」と、ゼレンスキーは述べた。「しかし、彼がどのような立場になろうとも、常にウクライナと共にあることは間違いない。これは心からの言葉だ」


ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

注目のキーワード

注目のキーワード
トランプ
投資

本誌紹介

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

本誌 最新号

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

人気ランキング

  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
もっと見る
ABJ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。