最新記事

メルマガ限定ページ

テレビを見ないのはまだ子供だから?

2017年04月20日(木)18時30分

家庭を持つとテレビを見る時間は長くなる? Cathal McNaughton-Reuters

<ミレニアル世代とテレビの関係に新研究。ベビーブーム世代と比べて視聴時間が少ないのは「大人になるのが遅い」からだという>

21世紀に入ってから成人し、新しい形の消費の牽引役になっているとされるミレニアル世代。現在20~35歳くらいの彼らは、60歳前後のベビーブーム世代が若いときほどテレビを見ない。しかし、それも変わりつつある。

これはテレビ広告の効果を測定する過程で分かったもの。米大手テレビ局のCBSと調査会社ニールセンカタリーナソリューションズ(NCS)は90年、01年、06年を「基準年」とし、18~24歳、25~34歳、35~39歳による4大ネットワーク(ABC、CBS、NBC、FOX)の視聴動向を調べた。

そこで明らかになったのは、テレビを見る時間は年齢が上がるにつれて長くなること。どの基準年でも、25~34歳の若者は、18~24歳のときよりテレビ視聴時間が平均60%増えた。

ただし昨年に限っては、25~34歳(まさにミレニアル世代)がテレビを見る時間は、18~24歳のときより67%増えていた。

CBSのデービッド・ポルトラック最高研究責任者は、3月20日付の業界誌アドウィークで、ミレニアル世代のテレビ視聴時間の増加が上の世代よりも大きいのは、「大人時代が遅れてやって来る」せいではないかと指摘した。ミレニアル世代は30代になるまで、自分を半分子供だと思っているというのだ。

テレビを見る時間が増えるのは生活がある程度落ち着き、実家を出て、自分の家庭を持つようになってからだと、ポルトラックは言う。「ミレニアル世代は大人の行動パターンを取り始めるのが遅いから、買い物などの消費行動が加速するのも40代や50代にずれ込むだろう」

このトレンドは、若者の実家住まいに関する調査結果とも一致する。それによると現在の18~34歳は、昔の世代よりも実家住まいの人が多い。1880年の調査開始以来、実家住まいが多いのは18~24歳と決まっていた。14年の調査でもその点は同じで50%が実家にいたが、25~29歳でも25%、30~34歳でも13%がそうだった。

ただし、テレビの視聴時間に関しては、「大人時代が遅れてやって来る」だけが理由ではないだろう。ミレニアル世代がスマートフォンやコンピューターなど、テレビより小さな画面を見ている時間は上の世代よりずっと長いだろうから。

ジャニス・ウィリアムズ

[2017年4月18日号掲載]

MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中