コラム

「極右」に屈したドイツ次期首相候補...ナチスを想起させる「タブー破り」に、16万人が抗議

2025年02月04日(火)18時47分

「動議、法案。その次は」

昨年11月の演説で「たとえそれが一時的なものであったとしても一般的に敬遠されているAfDの支持を受けて政策を可決することには反対だ」と明言していたメルツ氏の転向にメルケル氏は「AfDの票で多数派を目指すのは間違っている」と後継者を痛烈に批判した。

アンナレーナ・ベアボック外相(緑の党)も「自分の家を燃やすのに鉄球で防火壁を壊す必要はない。穴を開け続けるだけで十分だ。動議、法案。次は何が来るのか」と強い懸念を示した。メルツ氏の政治的打算がナチスと同様、AfDのさらなる台頭を招くのか。

2月2日、ベルリンのブランデンブルク門に約16万人が集まり「われわれは防火壁だ。AfDとは協力しない」「メルツよ、恥を知れ」と書かれた横断幕が掲げられた。欧州政治において極右勢力の影響力はもはや無視できない。民主主義の原則が損なわれるとの懸念が深まっている。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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