コラム

「限度を超えた円安」はさらに進む可能性が高い...「片山シーリング」に効果はあるか?

2025年12月11日(木)18時44分

飛び交う「片山シーリング」という皮肉なスラング

困ったことに投資家の多くは(時期はともかく)もう一段の円安を見込んでいる。その理由は高市政権が積極財政を掲げているからである。

高市早苗首相は安倍晋三元首相の後継者を自任しており、アベノミクスの復活を表明したほか、財政出動を強化する方針を示している。説明するまでもなくアベノミクスとは意図的に円安と物価上昇を実現する政策であり、ここに大型の財政出動が加われば、理論上、円安はさらに進行する可能性が高い。


当該政策を継続する限り、円安進行は既定路線という状況であり、政府が円安を止める方策は為替介入しか残されていない。市場では介入がどのタイミングで行われるのかを予想するスラングとして「片山シーリング」という言葉まで飛び交っているが、この言葉は言い得て妙である。

シーリングというのはかつて財務省(旧大蔵省)が予算の膨張を防ぐため、各省の要求額に上限を設定する際に使われた用語であり、均衡財政主義の象徴といえる。

片山さつき氏は財務省出身で、かつ財務官僚の中でもエリートとされ、予算査定の責任者である主計官のポストを経て政界入りした。生粋の財務官僚だった片山氏が、政府予算の膨張から円安が進み、為替介入しか下落を防ぐ方法がないというタイミングで財務大臣に就任した皮肉な状況をよく表している。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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