米イラン合意、日本政府・与党は楽観視せず 「懸念点多い」との声も
東京湾で2月16日撮影。REUTERS/Kim Kyung-Hoon
Tamiyuki Kihara Yoshifumi Takemoto
[東京 8日 ロイター] - トランプ米大統領によるイランとの停戦合意の発表を受け、日本政府は事態の行方を慎重に見極めようとしている。外務省幹部は「情報収集中だが、まだまだ懸念点が多い」とロイターの取材に述べた。原油輸入の9割以上を中東に頼る日本にとって、ホルムズ海峡航行の安全確保は生命線でもある。政府与党内には今後の米イランによる交渉への期待感も広がるが、不確定要素への懸念を指摘する声も依然、少なくない。
「停戦合意に至ったことは評価できるし、今後の交渉がうまくいくことを期待しているが、情報が錯そうしていてまだ安心できない」。前出の幹部はこうも付け加えた。木原稔官房長官は8日午前の記者会見で、「米国、イラン双方の発表を前向きな動きとして歓迎をしている」とし、「重要なのは実際に事態が沈静化すること」と述べ、引き続き高市早苗首相とイランのペゼシュキアン大統領との電話会談を模索する考えを示した。
ただ、外務省幹部は「懸念点が多い」とも語る。米国、イランとの間には停戦の条件をめぐって隔たりがあるとも指摘されているからだ。また、イスラエルの対応次第では攻撃の応酬が再開する可能性も捨てきれないとし、「事態の推移によっては交渉が進むか一気に見通せなくなる。日本としては情報収集と中東諸国との対話を続ける」と話した。
日本は原油の9割以上を中東から輸入し、7割超がホルムズ海峡を経由する。国土交通省が自民党に示した資料によると、ペルシャ湾内に停泊する日本関係船舶は6日時点で42隻。そのうち日本船籍5隻、日本人が乗船する船舶5隻、日本人乗組員数は20人となっている。
イランのアラグチ外相は8日の声明で、同国軍との調整によってホルムズ海峡は2週間、安全な通航が可能になるとした。主要産油国のイラクでは、海峡が再開されれば1週間以内に原油輸出量を紛争前の水準まで回復させることが可能との国営バスラ石油会社の見方が出ていた。日本の海運各社でつくる日本船主協会の広報担当者はロイターの取材に、「良い方向に動くのではないかという期待はしている」とする一方、ペルシャ湾に機雷が敷設されているとの情報もあり、安全に航行できるかどうか確認したいと話した。
日本の与党内の声はなお慎重だ。自民党の外交政策に関わる衆院議員は取材に、「停戦合意は歓迎するが、(期限とされる)2週間が過ぎた後の方向性は予断を許さない」と話す。イランは国際世論を味方につけていると認識しており、交渉が難航する可能性があるとの認識だ。「トランプ氏もイランの核問題が解決しない限り引くに引けない。結局、まだ落としどころは見えていない状況だ」とした上で、「日本は引き続き長期戦に備え、エネルギー需要を抑えるための節約要請など、慎重な対応を取る必要がある」と述べた。
連立を組む日本維新の会幹部も「これまでもトランプ氏の方針はころころ変わっていた。今後の見通しを語るのは時期尚早だ」と慎重姿勢を示した。日本政府が取るべき方策として、「ホルムズの安定を確保するべく、米国やイランの考えに左右されない国際的な枠組みを模索するべきだろう」と提起した。
トランプ氏は7日、「イランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに合意した」と表明。ホルムズ海峡再開に応じなければイランの民間インフラに壊滅的な攻撃を行うとした期限が2時間足らずに迫る中での発表だった。
(鬼原民幸、竹本能文、岡坂健太郎 編集:久保信博)
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