ニュース速報
ワールド

アングル:トランプ政権2年目、支持者が共有する希望と懸念

2026年02月10日(火)12時12分

写真はアリゾナ州プレスコット・バレーの自宅で取材に応じるジョイス・ケニーさん。2025年5月撮影。 REUTERS/Rebecca Noble

Julia ‍Harte

[9日 ロイター] - 米西部アリゾナ州プレスコット・バレーに住む退職者のジョ‌イス・ケニーさん(74)はトランプ米大統領について、2024年に投票した当時よりも今の方が満足感は大きく「いつだって喜んでトランプ氏に投票したい」と語った。

トランプ氏の2期目政権が2年目を迎え、ケニーさんはトランプ氏が政府の無駄や不正に対する撲滅運動を続け、高齢者のコストを引き下げ、罪を犯した移民をより多く国‌外追放するよう望んでいる。しかし法を守る移民は、不法に​入国した者も含めて米国に留まることを容易にしてほしいとも願っている。

「トランプ氏は不法入国者に対してもっと穏便なやり方を探るべきだ。私たちは米国人でない人々も人道的に扱わなければいけない」と述べた。

トランプ氏が、移民政策を巡る全米規模の抗議デモ、高まる生活費に対する不満、そしてデンマークからコロンビアに至るまで各国と高まる緊張に直面する中、ロイターはケニーさんを含めたトランプ支持者20人に取材し、今後1年間にトランプ氏に望む事を聞いた。

彼らのほぼ全員が1年目の実績を称賛。米国内の都市部の移民取り締まり強化、貿易相手国に対する‌関税措置、連邦政府職員の大幅削減、ベネズエラ大統領の拘束を支持している。

<中間選挙を前にした圧力>

ロイターがこの1年間、毎月取材を続けてきたこれらの有権者たちは、トランプ氏が今後数カ月の間にさらに変化をもたらすことを期待していると述べた。トランプ氏には11月の中間選挙に向けて与党共和党が議会の支配権を維持できるよう助力する圧力が高まっている。

20人のうち6人はこれまでのトランプ政権を実質的に全く批判しておらず、3人は昨年の実績に強い不満を感じていた。残りの11人の評価は入り混じっていたが、自らの投票を後悔していると述べた人はゼロだった。

トランプ氏に対する共通した要求は、外交政策よりも移民改革、さらに医療改革や公的プログラムの不正削減、国家債務の削減といった国内問題に集中することだ。

14人の回答者は最近のトランプ氏の「他国の併合」を示唆する発言や交流サイト(SNS)の投稿を通じて分断をあおる傾向に失望していると述べた。

「もっと米国のことに本腰を入れて集中してほしい」と語るのは、西部ワシントン州で失職中の会計士、ロバート・ビラップスさん(34)だ。ビラップスさんはより安い医療費と透明性のある政府支出を期待してトランプ氏に投票した​。その点で改善はほとんど見られないが、24年の選挙でトランプ氏が「恐らく最良の選択肢」だったと今も考えている。

トランプ氏の関税政⁠策や、反対意見を唱える裁判官や当局者に対する侮蔑、最近のデンマーク自治領グリーンランドの領有や他国に向けた「脅し」について、南部フロリダ州タンパの販促品販売業‍者のスティーブ・イーガンさん(65)は「落第点」を付けた。

イーガンさんの26年の主な願いはトランプ氏が「自らの分をわきまえて」憲法危機を引き起こさないことだ。

<移民改革>

有権者たちが最も強く求めたのは米経済に既に貢献している法を守る移民に対して法的な地位の入手に向けたより明確な道筋を示すことだ。トランプ氏は1期目にこうした措置をいくつか支持したが、再選後は実施していない。

昨年の段階では、取材対象のうち14人の有権者が合法化に値する外国人の規制を緩和してほしいと述べた。1月は同8人が移民改革を2年目の優先事項にすべきだと答えた。

西部カリフォルニア州サンディエゴ近郊のコンテンツクリエイ‍ターのフアン・リベラさん(26)はカリフォルニア州共和党の中南米系移民への支持拡大活動に携わっており、移民改革を優先すれば中間選挙で共和党にとって‍プラスに働くだ‌ろうと述べた。

「トランプ氏に投票した中南米系やアジア系の有権者は移民改革が見たかったから投票したのだ。もしも彼らの票がなかったら、‍トランプ氏は勝てなかったことを共和党員全てが理解していないと思う」と強調した。

東部ペンシルベニア州の矯正局職員で元州兵のブランドン・ノイマイスターさん(36)もまたトランプ氏が移民改革に集中するよう願っており「もし彼らがここにいて生産的でトラブルを起こさずに過ごしてきたならば、私たちが求めるタイプの人々だと思う」と述べた。「何十年も地域社会に定着してきた」移民を国外退去させるよりも、政権が「市民権を取得するためにより合理的な方法」を生み出すべきだという。

移民・税関捜査局(ICE)は1月下旬時点で約6万人を拘束しており、そのうち約44%は犯罪容疑や前科がない。

<「落ち着いてほしい」>

会計ビジネスを営み、不動産を賃⁠貸し、共和党系の政治行動委員会で働く西部ユタ州セントジョージのレサ・サンドバーグさん(58)は昨年の規制緩和と減税に「満足し希望を感じた」と述べた。彼女は食料品やガソリンが下がったと話したが、1月の米消費者物価指数(CPI)は全国的に食料品が上昇し、ガソリンが下落した。

しかしサンドバーグさんは⁠トランプ氏が国防関連予算の議会承認額を大幅に引き上る財源をどのようにねん出するのか疑問視‍している。26年のトランプ氏の最優先事項は「連邦政府予算を均衡させて借金の増加を止めることだ」と語った。

中西部ミシガン州のパイロット、テリー・アルバータさん(65)は政府の無駄を省くため一段の努力を期待している。「政府効率化省(DOGE)に大きな期待を寄せていたが、一つのグループから巨額の現金を奪って別のグループに与えているだけだ。財政赤字が実際に減っているように見え​ない」と指摘する。

アルバータさんはまた、意見が対立する人々を攻撃したがるトランプ氏の傾向にも不満を漏らし「自分に反対する人々を激高させるのをやめてほしい。落ち着いてほしい」と注文を付けた。

南部ジョージア州の機械技師で産業用資材会社の顧客管理担当のデビッド・ファーガソンさん(54)は関税やその他の戦術を通じて製造業を米国に戻すよう努め続けるべきだと述べた。アルバータさんと同様、トランプ氏の「ある種の傲慢さがあって時として少々やりすぎに感じられることがある」と認めながらも、「トランプ氏がなすべきことのために役立っている」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、民主党州向け公衆衛生助成金を6億ドル削減へ=報

ワールド

トランプ政権、温室効果ガス規制の法的根拠撤廃へ

ワールド

11日から訪米、対米投資案件でラトニック商務長官と

ワールド

エア・カナダなどキューバ便運休、米圧力でジェット燃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中