ニュース速報
ワールド

中国10月輸出、予想に反して-1.1% 関税重しで対米25%急減

2025年11月07日(金)17時40分

4月、中国・上海の港に置かれた輸出用電気自動車(EV)とコンテナ。China Daily via REUTERS

[北京 7日 ロイター] - 中国税関当局が7日発表した10月の貿易統計によると、輸出はドル建てで前年比1.1%減と予想に反して減少した。米関税発動を前にした駆け込み輸出の効果が薄れた形で、中国の製造業が米国の消費になお依存していることが浮き彫りになった。

減少率は2月以来の大きさ。前年同月は過去2年以上で最速の伸びを記録しており、高い比較水準(ベース効果)が影響した。

ロイターがまとめた市場予想によると、3.0%増だった。9月は8.3%増加していた。

一方、輸入は1.0%増。予想の3.2%増を大幅に下回り、5カ月ぶりの低水準となった。9月は7.4%増だった。

貿易黒字は900億7000万ドルと、前月の904億5000万ドルから縮小。市場予想の956億ドルを下回った。

対米輸出は25.17%減と大幅なマイナスになった。一方、米国との緊張が高まる中、中国は輸出市場の多様化に力を入れているが、欧州連合(EU)諸国向けはわずか0.9%増。東南アジア諸国向けは8.9%増加した。

人民元建て対ロシア輸出は22%減の604億6000万元(84億9000万ドル)となり、過去8カ月で最大の減少率となった。

エコノミストは、米国向け輸出の減少で伸びが約2%ポイント減少したと推計している。これは国内総生産(GDP)の約0.3%に当たる。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、黄子春氏は貿易統計の弱さについて「米国以外の市場への出荷の幅広い減速も要因」と指摘。米国への出荷が急減する一方で、ベトナムなど中継国への輸出が増加したことは、生産者がなお関税を回避する形で在庫を米国に移そうとしていることを示唆していると述べた。

ただ、ナティクシスのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は、ベトナム経由の米輸出は前倒しの時期が終われば減速すると予想し、「そのため第4・四半期はより厳しい状況になるだろう。つまり、2026年上半期も同様に厳しい状況になるということだ」と見通した。

ユナイテッド・オーバーシーズ銀行のエコノミスト、ウーイ・チェン・ホー氏は、「貿易休戦により見通しは短期的に安定すると期待できる」とする一方、「長期的には、中国からのサプライチェーン(供給網)移転が続き、米中は相互依存を減らそうとするだろう」と述べた。

米中は先の首脳会談で貿易休戦の1年延長で合意したものの、それでも米国に輸入される中国製品には平均45%ほどの関税が課せられる。一部エコノミストは、中国メーカーの利益は関税が35%を超えると吹き飛ぶとみている。

こうした中、中国は「最良の輸出先」になるとする輸入促進策を打ち出し、李強首相は5日、中国の経済規模が30年までに170兆元(23兆8700億ドル)を超え、世界に大きな市場機会をもたらすとの見通しを示した。

<弱い内需>

内需低迷も中国経済の重しになっている。

10月の中国の大豆、原油、鉄鉱石の輸入は前年同期比で増加したが、銅の輸入は減少した。

野村のアナリストは「一連の需要ショック、特に小売売上高と輸出に起因する成長の逆風が強まる中、中国政府の政策の焦点は再び短期的な安定確保に移る可能性があると考える」とし「財政拡張が中国政府の政策の重点となる可能性が高い」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米戦略石油備蓄の第1弾、来週末までに供給 8600

ビジネス

日立とGEベルノバ、東南アジアで小型モジュール炉導

ワールド

米商務省、AI半導体輸出の新規則案を撤回 公表から

ワールド

北朝鮮が約10発の弾道ミサイル発射、東海岸沖の海に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 6
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 7
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 8
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 9
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 10
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中