侵略者への譲歩は拡張欲を刺激するだけ、台湾総統が欧州と連帯訴え

台湾の頼清徳総統(写真)は、欧州における第二次世界大戦の終結から80年となる5月8日、台湾と欧州は権威主義という同じ脅威に直面していると述べ、侵略者に譲歩することは彼らの拡張欲を刺激するだけだと警告した(2025年 ロイター/Ann Wang)
Ben Blanchard
[台北 8日 ロイター] - 台湾の頼清徳総統は、欧州における第二次世界大戦の終結から80年となる8日、台湾と欧州は権威主義という同じ脅威に直面していると述べ、侵略者に譲歩することは彼らの拡張欲を刺激するだけだと警告した。
台湾は中国からの軍事的圧力の高まりに直面、欧州はウクライナに侵攻するロシアのリスクに直面している。
頼氏は台北賓館で、台湾に駐在する欧州、英国、日本、カナダ、米国の外交官らを前に演説。台湾は第二次世界大戦を戦った多くの民主主義国家と同じ価値観を共有しているとし、「歴史上の多くの時点で、人々は平和を得るために侵略者に若干譲歩することを考えてきたが、第二次世界大戦の痛ましい教訓からわかるように、侵略者に拡張の味を覚えさせると、食欲を刺激するだけだ」と語った。
台湾総統が欧州の終戦記念日に正式に演説を行うのは初めて。
中国の習近平国家主席はモスクワで行われる対ドイツ戦勝記念パレードに出席するためにロシアを訪問している。
習氏は7日のロシア紙への寄稿で、台湾は合法的に中国のものであり、台湾の状況がどのように発展しようとも、「外部の力がどのような問題を起こそうとも」、「統一」への流れは止められないと述べた。
頼氏はロシアや中国の国名には直接触れなかったが、台湾と欧州は「新たな権威主義ブロックの脅威」に直面していると述べ、台湾と欧州が共に訴えている海底ケーブルの損傷や選挙妨害、偽情報の拡散といった問題を指摘。
「世界中の自由を愛する人々は、個人も国家も、リスクが危機へと変わる前に、また危機が対外的な拡大への野心を持つ人々に利用される前に、今こそ緊密な連帯のもとに協力しなければならない」と述べた。