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シンガポール中銀、金融政策を現状維持 引き締め予想に反し

2023年04月14日(金)11時51分

 4月14日、シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は、現行の金融政策を維持することを決定した。写真はMASのロゴ。2013年2月撮影(2023年 ロイター/Edgar Su)

[シンガポール 14日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は14日、現行の金融政策を維持することを決定した。大半のエコノミストは追加引き締めを予想していた。

MASは「シンガポールドル名目実効為替レート(SドルNEER)」として知られる政策バンドの3つのレバー(傾き、中央値、幅)を通じて政策を調整している。

声明で過去の政策引き締めが「引き続き経済に効果を表しており、インフレ率をさらに抑制する見込み」と説明。「現在のNEER政策バンドの上昇率は中期的な物価安定を確保するために十分にタイトで適切だと評価した」としている。

今回、政策バンドの上昇率(傾き)を引き続き実勢水準で維持し、変動幅と中央値は変更しないとした。

金融政策が据え置かれたのは21年4月以来初めて。MASは21年10月から昨年1月と7月の臨時決定を含め5回連続で政策を引き締めていた。

ロイター調査では、17人のエコノミストのうち6人だけが据え置きを予想し、インフレ圧力が続く中、もう1回引き締めが行われるとの見方が大半だった。

MASの発表直後にシンガポールドルは対米ドルで0.4%余り下落した。

メイバンクのエコノミスト、Chua Hak Bin氏は、コアインフレ率が上昇しているにもかかわらず、リスクバランスは成長懸念にシフトしていると指摘。「シンガポールの小規模で開放的な経済は停滞し始めており、世界的な景気後退(リセッション)の影響を十分に受けている」とし、中国経済再開の後押しが第2・四半期に実現しない場合、シンガポールがテクニカルリセッションに陥る危険性があると述べた。

MASが重視するコアインフレ率は1月と2月に5.5%に上昇し、08年11月以来の高水準を記録した。

オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、アレックス・ホームズ氏は、24年終盤まで引き締め政策の巻き戻しはないと予想。ただ、景気の弱さを踏まえると、来年4月に政策バンドの傾きを引き下げる可能性があると述べた。

ロイター
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