ニュース速報

ワールド

EU、ロシアとの首脳会談で合意せず 独仏が提案

2021年06月26日(土)01時05分

6月25日、ドイツのメルケル首相(写真)は、欧州連合(EU)首脳会議の初日では、ドイツとフランスが提案したロシア・EU間の首脳会議について合意に至らなかったと明らかにした。ベルリンで24日撮影(2021年 ロイター/Michele Tantussi)

[ブリュッセル 25日 ロイター] - EU首脳らは、25日まで2日間にわたって開かれた首脳会議で、ドイツとフランスが提案したロシアとの首脳会議で合意に至らなかった。ロシアに誤ったメッセージを送るとしてポーランドやバルト諸国が反対した。

ドイツのメルケル首相は「極めて包括的な話し合いが行われた。簡単なものではなかった」と説明。「われわれがどの条件においてロシアと協力し、より緊密に連絡を取り合う用意があるかを再度確認した」と述べた。

フランスのマクロン大統領は「迅速な首脳会談でコンセンサスは得られなかったものの、これは悲劇ではない。最も重要なことは団結することであり、分裂はわれわれを弱める」と語った。

マクロン氏は首脳会談に先立ち、今回の会談はロシアとの関係改善に向けた対話の機会になると主張。記者団に「欧州の利益や安定のためには対話は必要だ」と述べていた。

実現すれば、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島の併合を一方的に宣言した2014年以来となる。

メルケル首相も24日、独連邦議会で「EUとして、ロシア大統領との直接対話を探るべきだ」述べ、「米大統領がロシア大統領と対話をするだけでは十分ではない」と指摘。「EUも対話の場を作るべきだ」と主張していた。

イタリアのドラギ首相は「ロシアは経済的にも政治的にも重要なプレーヤーであり、われわれは積極的に対話していかねばならない」と訴えた。

一方、ロシアとの首脳会談には、加盟国の多くから反対の声が上がった。

リトアニアのナウセーダ大統領は、ロシアに対するスタンスを変えないことが多くのEU首脳の共通認識だと説明。核保有国であるロシアと米国の関係に言及し、「(EUとロシアの関係は)米ロ関係とは異なり、非常に慎重になるべきだ」と指摘した。

ポーランドのモラウィエツキ首相は、プーチン大統領が近隣諸国に対する「攻撃的」な政策をやめるべきだと主張。ロシアが2014年に強制編入したウクライナ南部クリミア半島を保持する限り、首脳会談を行うことはできないと語った。

ラトビアのカリンシュ首相も、ウクライナの問題が解決していないのにもかかわらず首脳会談を行えば、ロシアを利することになると述べた。

EUとロシアは、ウクライナやベラルーシ情勢、人権問題などを巡り対立している。EU首脳らは、ロシアとの首脳会談で合意する代わりに、ロシアがサイバー攻撃など挑発的な行為を続けた場合、追加制裁も辞さないという立場を堅持した。

首脳会談後に発表した声明では、欧州委員会とボレル外交安全保障上級代表に対して「経済制裁を含む追加的な制限的措置の選択肢を提示する」よう求めた。

ロシア側は、首脳会談を歓迎する姿勢も見せている。ただ、ロシアのラブロフ外相は24日、議題が何になるかなど詳細を把握する必要があると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米印首脳が電話会談、関税導入後3回目 二国間関係な

ワールド

トルコ中銀が150bp利下げ、政策金利38% イン

ワールド

ウクライナ、米国に和平案の改訂版提示 領土問題の協

ビジネス

米新規失業保険申請、約4年半ぶり大幅増 季調要因の
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中