ニュース速報

ワールド

G7声明、途上国の温暖化対策で拠出増額 具体策は盛り込まず

2021年06月14日(月)07時45分

 6月13日 主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、途上国などの温暖化対策に向けた資金支援を協議し、未達となっている先進国からの年間1000億ドルの資金拠出目標達成に向け、増額する方針を共同声明に盛り込んだ。写真は5月24日、英コーンウォールで撮影(2021年 ロイター/Toby Melville)

[カービスベイ(英イングランド) 13日 ロイター] - 主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、途上国などの温暖化対策に向けた資金支援を協議し、未達となっている先進国からの年間1000億ドルの資金拠出目標達成に向け、増額する方針を共同声明に盛り込んだ。

声明では、官民で2025年までに年間1000億ドルを拠出する先進国の総額目標を確認。これに向け各国の拠出増額を確約するとした上で、他の先進国にも資金拠出を求めた。

サミット終了後、カナダは向こう5年の途上国の気候変動対策支援額を倍増し、53億カナダドル(44億米ドル)にすると表明。ドイツもまた、早ければ25年までに年間供与額を20億ユーロ増額して60億ユーロ(72億6000万ドル)にするとした。ただ、拠出増額を具体的な数値で示したのは2カ国にとどまった。

議長を務めたジョンソン英首相は記者会見で、先進国はさらなる行動を一段と迅速に起こす必要があると強調。「G7は世界の温暖化ガス排出量の20%を占めており、われわれが行動の起点になる必要があると(サミットで)明確にした」と述べた。

G7各国がこれまでに排出削減を確約したのは「素晴らしい」とした上で「可能な限り速やかな目標達成と、途上国支援を同時に進めることを確実に図る必要がある」と訴えた。

環境団体からは、具体的な額などの詳細が不明となお批判の声が出ている。

先進国は2009年の国連気候変動枠組条約締約国会議で2020年までに先進国全体で途上国の気候変動対策に年間1000億ドルを資金支援することで合意。ただ、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)の影響もあり、目標は未達となっており、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の開催も1年延期して今年11月になった。

G7はこの日また、2021年は「地球にとって転換点となるべき」とし、温暖化ガス排出削減の取り組みを加速し、産業革命からの気温上昇を1.5度内に抑える目標が達成可能な状態を維持すると表明。

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、G7首脳は石炭火力発電の段階的廃止で合意したと述べた。

ただ、共同声明はそれほど明確な内容とはなっておらず「2030年の国別削減目標と温暖化ガス排出量実質ゼロの目標に沿って、環境対策が施されていない石炭火力発電能力からの脱却をさらに加速する技術と政策を迅速に向上すると確約した」と記した。

G7は、企業が環境関連規制の緩い地域に生産拠点を移す「炭素リーケージ」にも協力して対応すると表明した。

ただ、石炭火力発電の段階的廃止や電気自動車(EV)へのシフトなど、具体的な措置は盛り込まれておらず、どのように温暖化ガス排出量を削減するかについては詳細がほとんど示されなかった。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、対ウクライナ25億ドル追加支援発表 ゼ

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中