ニュース速報

ワールド

ユーロ圏財務相会合、欧州安定メカニズムの改革で合意

2020年12月01日(火)10時49分

ユーロ圏財務相会合は30日、新型コロナウイルスのパンデミックにより域内経済へのリスクが高まる中、停滞している欧州安定メカニズム改革を進めることで合意した。写真はユーロ紙幣、2017年3月撮影(2020年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[ブリュッセル/ベルリン 30日 ロイター] - ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は30日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により域内経済へのリスクが高まる中、停滞している欧州安定メカニズム(ESM)改革を進めることで合意した。

ユーロ圏の救済基金であるESMの役割拡大を巡る「原則」合意から約1年が経ち、ようやく改革の承認に向け前進した。

国際通貨基金(IMF)は、新型コロナの感染第2波により、ユーロ圏政府や欧州中央銀行(ECB)は当初の想定よりも大規模な財政・金融支援策が必要になる可能性があると警告している。

ドイツのショルツ財務相はユーログループの会合後、「ESM改革はユーロや欧州の銀行セクター全体の強化につながる。われわれは投機筋による攻撃に対し、ユーロ圏がより強力に対応できるようにしようとている」と述べた。

ESMの改革により、ソブリン債務の再編で投資家がより有利な取引を要求するリスクが低下するほか、各国と投資家の間の調停役としての同基金の余地が拡大する。

また、銀行危機の際に域内銀行の破綻処理を支える単一破綻処理基金の資金が枯渇した場合、ESMが同基金に融資することが可能になる。

ESMの新たな役割を巡っては、ユーロ圏の銀行システムのリスクを低下させることを条件に、複数の国が既に合意していた。ECBのリポートでは全てのリスク指標の改善が示されている。

ただ、新型コロナ危機により、状況は厳しくなるとみられる。

ユーログループは、声明で「新型コロナ危機により、過去数年に見られた望ましいトレンドは一時的に阻害されたり、弱まったりする見通しだ」と指摘。

「納税者を保護しながら、金融安定維持を視野に状況を注意深く監視し、脆弱性に対処する必要性が示されている」とした。

ESM協定の改革はユーロ圏の政府が1月に署名し、各国の議会で2021年に承認された後、22年に発効する。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ、6月の英販売台数は前年比12%増=調査

ワールド

豪家計支出、5月は前月比+0.9% 消費回復

ワールド

常に必要な連絡体制を保持し協議進める=参院選中の日

ワールド

中国、太平洋島しょ地域で基地建設望まず 在フィジー
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中