ニュース速報

ワールド

欧州でインフルワクチン不足、コロナと「ツインデミック」リスク

2020年10月23日(金)00時55分

欧州の一部都市でインフルエンザの予防接種への需要が急増してワクチンが不足しており、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方の感染が広がる「ツインデミック」が起きるリスクが高まっている。ローマで15日撮影(2020年 ロイター)

[ワルシャワ/ミラノ/ウィーン 22日 ロイター] - 欧州の一部都市でインフルエンザの予防接種への需要が急増してワクチンが不足しており、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方の感染が広がる「ツインデミック」が起きるリスクが高まっている。

欧州の各国政府は今年、インフルエンザワクチンの発注を増やし、予防接種を受けるように啓発活動を進めている。通常より早い接種で4億5000万人に上る欧州人口の接種率を高め、医療機関の負担を減らす狙いだ。

ワクチン大手のグラクソ・スミスクライン(GSK)やサノフィ、アボット・ラボラトリーズ、セキーラスは需要増加を想定し、欧州への供給を平均で30%増やした。ワクチンメーカーを代表するワクチン・ヨーロッパは21日に公表した声明で、フル稼働しているが最近の追加需要に追いつかないと述べた。

欧州の各都市や政府の当局者、医療専門家とのインタビューでも、ワルシャワなど主要都市で早い時期にワクチンの需要が増え、遅れが出たり一時的にワクチン不足に陥ったりしていることが分かった。

欧州のインフルエンザの流行は10月に始まり、11月半ばから12月初めにかけて拡大する。毎年400万─5000万人がかかり、最大7万人が関連で死亡する。高齢者やリスクが高いグループで多い。

ワルシャワの薬局でマネージャーを務めるGrazyna Lenkowska-Mielniczukさんは「今年は常に患者がワクチンを求めに来る。毎日10人を超える」と話した。ポーランド保健省は今年300万本を購入し、20日時点で160万本が届いているという。

ベルギーでは発注したワクチンのうち3分の1がまだ納品されていない。一部は通常より遅く届くという。政府は今年、昨年より10%多い300万本近く発注した。

人口約10万人のオーストリア南部クラーゲンフルトの当局者は声明で、通常の量のワクチンを1月に発注し、その後新型コロナのパンデミック(世界的大流行)進展に伴い追加注文しようとしたができなかったと述べた。オーストリア政府は昨年より60%多い125万本を発注した。

ワクチン・ヨーロッパは、インフルエンザのワクチンを製造するために要する時間が長いため、製造業者は異例の事態の中で生産を増やすために全力を尽くしたと話す。ただ、現在は生産能力を拡大する余地が限られていると指摘した。

ワクチンの各国への配分は通常、インフルエンザが流行する時期から1年以上前に決める。北半球のワクチン製造は3月上旬に始まる。

GSKの広報担当は、インフルエンザワクチンの保存可能期間が短いことも予期せぬ事態への調整を難しくすると話した。GSKは今年と向こう数年間、ワクチンの製造・供給を増やす予定だが、今後も需要が製造能力を上回るとの見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB理事ら、インフレ警戒 利上げは慎重に見極め

ワールド

台湾輸出受注、2月23.8%増 予想下回る

ビジネス

ユニリーバの食品事業、米マコーミックが買収提案

ビジネス

アマゾンが再びスマホ開発、「Transformer
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 9
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 10
    「嘘でしょ!」空港で「まさかの持ち物」を武器と勘…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中