ニュース速報

ワールド

拡大G7サミット、対中包囲網に多くの国は慎重=美根・元日朝交渉代表

2020年06月02日(火)18時26分

 6月2日、平和外交研究所代表の美根慶樹氏は、ロイターの取材に対し、トランプ米大統領が9月開催を呼びかけた拡大版主要国(G7)首脳会議(サミット)について、結果的にトランプ氏が意図した形の会合は開催されない可能性があると指摘した。写真は米大統領専用機で、5月30日撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

[東京 2日 ロイター] - 平和外交研究所代表の美根慶樹氏は2日、ロイターの取材に対し、トランプ米大統領が9月開催を呼びかけた拡大版主要国(G7)首脳会議(サミット)について、結果的にトランプ氏が意図した形の会合は開催されない可能性があると指摘した。対中包囲網形成に多くの国が慎重なほか、大統領選でトランプ氏が再選されない可能性も各国首脳が意識しているという。

トランプ大統領は5月30日、6月末の開催を目指していたG7サミットを9月以降に延期し、参加国も拡大、オーストラリア、ロシア、韓国、インドを招待する考えも示した。 美根氏は「トランプ大統領としては反中連合を形成できればそれで良いくらいの気持ちかもしれないが、一帯一路にイタリアが参加しているなど、いずれも中国との経済関係を重視せざるを得ず、トランプにはついていけない状態だろう」と指摘。「数カ月後には米国の大統領がトランプ氏ではなくなる可能性もあるため、突っ込んだ話はできないと思う」との見解を示した。

また現時点で前向きに参加を表明しているのは韓国だけと指摘し、「中国包囲網の可能性がある場合、韓国やオーストラリアは参加するかもしれないが、インドとロシアは乗ってこない可能性がある」との見方を示し、「G11というトランプ氏が望む形での会合は開催されない可能性がある」と述べた。

その上で「仮にG11が開催され、トランプ氏が対中包囲網で強硬策を打ち出しても各国が賛同するとは考えづらく、(対中強硬策で)大きなことは決まらない可能性が高い」と予想。「過激なことが決まることはないだろう」と語った。

トランプ大統領の対中姿勢に関しては「就任直後は対北朝鮮との交渉や貿易交渉上、中国との関係改善を一定程度重視していたが、徐々に中国とは大きな本質的な違いがあり、価値観も共有しておらず、非常に特殊な国との認識に傾きつつある」と分析。特に「新型コロナウイルスで米国は死者が10万人と多数に上り、背景には米国の貧富の差や医療体制の課題があるのだが、中国憎しの気持ちが非常に強まりつつある」と解説する。

米国の対中強硬姿勢を受け、日本では「習近平国家主席の訪日の実現が難しくなると心配する人が多いが、事前に米国に報告するなどいくつかの条件を満たせば、実現するのではないか」と楽観的な見通しを示した。

美根氏は、1968年に東大法学部を卒業後、同年に外務省入省。2007年4月から日朝国交正常化交渉日本政府代表を務め、09年に外務省を退官した。

(竹本能文 編集:石田仁志)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中央軍、オマーン湾とアラビア海での封鎖を通知 イ

ワールド

イスラエル国民はイラン停戦に反対、尊重するかで世論

ワールド

英仏、ホルムズ海峡巡り今週会合開催 防衛的海上任務

ビジネス

基本原則は債務残高のGDP比引き下げ、債務の定義で
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 2
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 3
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 4
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ…
  • 5
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけ…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目の…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中