ニュース速報

ワールド

焦点:コロナ「再感染」実は偽陽性の公算、韓国研究で明らかに

2020年05月10日(日)07時51分

5月7日、韓国の保健当局は今年4月、新型コロナウイルス感染症から回復した患者がその後の検査で再び陽性と判定された事例を多数報告し、新型コロナを巡って「再感染」という新たな懸念が浮上した。ソウルのデパートで4月末撮影(2020年 ロイター/Kim Hong-Ji)

[ソウル 7日 ロイター] - 韓国の保健当局は今年4月、新型コロナウイルス感染症から回復した患者がその後の検査で再び陽性と判定された事例を多数報告し、新型コロナを巡って「再感染」という新たな懸念が浮上した。再感染が起こり得るなら、隔離措置やワクチン開発などに厄介な問題が生じる。

しかし、その後の研究で、再陽性の判定が出たのは、感染力がなさそうなウイルスの微細な断片が患者の体内に残っていたためであり、実際には「偽陽性」だと見られることが分かってきた。

韓国疾病予防管理局(KCDC)によると、こうした事例は6日までに350件余りが報告されている。

<何が起きたのか>

韓国では新型コロナの治療を終えた患者が増えるにつれて、気がかりな動向が見つかった。治癒したと見える患者の一部が、その後の検査で再び陽性と判定されたのだ。

当局は再感染やウイルスの再活性化など、いくつかの仮説について検証。政府の専門家委員会は前週、再検査の結果は「偽陽性」との説が最も有力だと結論づけた。

韓国は新型コロナウイルス検査に、ウイルスの遺伝物質を検出する「RT-PCR」法を採用している。RT-PCR法は素早い判定が可能で、新型コロナに感染したかどうかを判定する精度が最も高いと考えられている。

しかし、中央大学のワクチン開発専門家の  Seol Dai-wu氏によると、RT-PCR法は一部の事例でウイルスの古い断片を検出している可能性がある。こうした断片は患者にとっても他の人にとっても、もはや重大な危険はなさそうだという。

Seol氏は「RT-PCR法の検査機器は、感染力を持つウイルス片と、感染力を持たないウイルス片を区別することができない。ウイルスの断片があるかどうかを判定するだけだ」と述べた。

KCDCによると、回復後の検査で再び陽性となった事例の背後に、こうした「偽陽性」が隠れている公算が大きいという。

KCDCの鄭銀敬局長は6日、ウイルス片が死んだウイルス細胞の一部であるとの仮説を裏付ける証拠集めが続いていると述べた。

患者は新たな呼吸器症状を発症したか、当局から再検査の対象に選ばれた場合に再検査を受けていた。

KCDCによると、4月半ばまでに再検査を受けた回復患者の半分弱が症候のある人だったが、こうした症状は新型コロナウイルスが引き起こしたものではなさそうだという。

<まだ感染力があるのか>

いったん回復した後の検査で、陽性と判定された患者が感染を広げることはなさそうだ。

鄭局長によると、KCDCの調査では回復後の再検査で陽性と判定された患者から感染が起きた事例は1件も見つかっていない。

KCDCは、回復後に症状を再発したように見える患者についてウイルスを培養する検査を実施しており、この作業では信頼に足る結果が判明するまでに2週間余りを要する。

6日までに培養試験を完了した29例すべてで、判定は陰性に戻った。少なくとも79例でまだ培養試験が続いている。

鄭局長は「再発事例のウイルスには、ほとんど、あるいは全く感染力がない」と述べた。

こうした事例を調べる専門家チームのリーダー、ソウル大学病院のOh Myoung-don医師によると、新型コロナウイルスはB型肝炎やエイズウイルス(HIV)と異なり、宿主細胞の核には侵入しない。このため慢性的な感染を引き起こすことはなく、再活性化の可能性は非常に低いという。

当局は新型コロナウイルスの抗体ができたかどうかについても検査を進めており、患者に接触した人々について検査や観察を行っている。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックフライデーの米オンライン売上高は過去最高、

ワールド

北朝鮮の金総書記、空軍の核戦争抑止力を強調 式典で

ビジネス

中国製造業PMI、11月は8カ月連続50割れ 非製

ワールド

米・ウクライナ、30日にフロリダで会談 和平案協議
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中