ニュース速報

ワールド

トランプ大統領「米国での新型ウイルスリスク低い」 CDCは警告

2020年02月27日(木)13時22分

 2月26日、トランプ米大統領は26日、新型コロナウイルスが米国人にもたらすリスクは「依然として非常に低い」との認識を示した。写真は記者会見の最中に書類を見せる大統領(2020年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン/ニューヨーク 27日 ロイター] - トランプ米大統領は26日、新型コロナウイルスが米国人にもたらすリスクは「依然として非常に低い」との認識を示した。また、政府の新型ウイルス対策の責任者にペンス副大統領を任命すると発表した。

ホワイトハウスで開かれた記者会見でトランプ氏は、政府の対応の妥当性を主張し、感染が拡大すれば保健当局は迅速に行動する「用意があり、それが可能だ」と指摘。「感染が拡大すれば、われわれは状況に適応し、あらゆる必要策を講じる用意がある」と強調した。国内の流行は不可避ではないとした。

新型ウイルス対策の予算措置では、議会が適切と判断した額を受け入れる考えを示した。新型ウイルス感染が広がるイタリアや韓国などに対する渡航制限については、可能性を排除しないが、今は適切な時期ではないと語った。

米疾病対策センター(CDC)は26日、新型コロナウイルスについて、国内のコミュニティーでの感染拡大の可能性を警告した。CDCによると、カリフォルニア州で、感染国・地域への渡航歴がなく、感染者との接触もないとされる人が感染していることが確認された。米国での感染者数は合計で15人となった。コミュニティーでの感染拡大とは、感染源が不明な疾病が広がることを指す。

アザー厚生長官は、米国内の新型コロナウイルス感染者が累計で59人になったと発表した。このうち42人はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」からの退避者だという。

米食品医薬品局(FDA)のバイオ医薬品評価研究センターのディレクター、ピーター・マークス氏はインタビューで「パンデミック(世界的な大流行)の可能性を警戒する必要がある」と述べた。

民主党のペロシ下院議長は声明を発表し、トランプ政権が「新型ウイルスの感染拡大に不透明で支離滅裂な対応をした」と批判。下院は「透明性があり、説明責任を果たし、この公衆衛生上の危機の規模と深刻さに十分に対処できる財政支援措置」を策定すると表明した。

トランプ氏は、新型ウイルスを巡る懸念が株式市場に打撃を与えたと指摘したうえで、野党・民主党の大統領選候補指名を争う候補者たちも投資家を不安にさせていると批判した。

民主党の候補者絞り込みに向けた討論会で「候補者たちが恥をさらしていることに、金融市場は非常に嫌気がさしているのだと思う」と述べた。

トランプ政権は議会に新型ウイルス対策として25億ドル規模の予算措置を要請。民主党の上院トップ、シューマー院内総務は26日、これをはるかに上回る85億ドルを提案した。

トランプ氏は「適切であればどのような額でも」支出すると述べた。

ある議会筋は、民主党が多数派を占める下院は3月12日からの議会休会を前に、新型ウイルス緊急対策予算案の審議前進を図る見通しだと明らかにした。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハセット氏のFRB議長候補指名、トランプ氏周辺から

ビジネス

FRBミラン理事「物価は再び安定」、現行インフレは

ワールド

ゼレンスキー氏と米特使の会談、2日目終了 和平交渉

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    世界の武器ビジネスが過去最高に、日本は増・中国減─…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中