ニュース速報

ワールド

新型肺炎の死者81人に、拡大防止へ中国は春節連休を延長

2020年01月27日(月)17時29分

 1月27日、中国の湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は感染が拡大し、患者数は中国国内で2744人に増え、死者は81人に達した。提供写真(2020年 ロイター)

[北京/上海 27日 ロイター] - 中国の湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は感染が拡大し、患者数は中国国内で2744人に増え、死者は81人に達した。

感染拡大の防止に向け、中国政府は春節(旧正月)の連休を延長すると発表し、大手企業の間では休業や、社員に在宅勤務を指示する動きが広がっている。

上海市政府は、企業に2月9日より前の業務再開を認めないと表明した。

武漢市の周先旺市長は国営中国中央テレビ(CCTV)に対し、新型ウイルスの管理が「十分ではなかった」と発言。

衛生当局者によると、死者数は湖北省で昨夜時点の56人から76人に増加したほか、他の地域で5人が死亡した。国内の患者数は約30%増えた。

中国政府の声明によると、同国の李克強首相は27日、武漢市を訪問。首相は、感染拡大を食い止めるための当地での取り組みを視察し、患者や医療スタッフらと話したという。

中国国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は26日、新型コロナウイルスの感染力が強まっており、感染者はさらに増加する可能性があるとの見解を示していた。

馬主任によると、新型ウイルスの潜伏期間は1─14日で、重症急性呼吸器症候群(SARS)とは異なり、潜伏期間に感染する可能性がある。

中国国営テレビの中国中央電視台(CCTV)によると、中国国務院(内閣に相当)は感染拡大の防止に向け、春節の連休を3日延長して2月2日までとすると発表した。

またCCTVによると、国内の団体旅行は24日時点ですでに中止されており、27日からは海外への団体旅行も中止される。

武漢市は27日、住民の移動制限を強化。中国市民向けの査証(ビザ)やパスポートに関連するサービスを今月30日まで停止する方針を示した。

武漢市長が26日明らかにしたところによると、移動制限にもかかわらず、500万人が旅行などのため同市を出発している。

中国のソーシャルメディアには、治療を求める患者が武漢市内の病院の廊下にあふれている画像や、野菜などの生活必需品の価格が高騰しているとの不満が投稿されている。

野生生物を違法に取引していた武漢の海産物市場から発生したとみられている新型コロナウイルスは中国国内では北京や上海など他の都市にも感染が拡大している。

中国は26日、市場やレストラン、電子商取引プラットフォームでの野生生物の販売を一時的に禁止した。

感染拡大により中国経済が深刻な打撃を受けるのではとの懸念から、米S&P総合500種Eミニ先物は27日のアジア取引で1%超下落。ニュージーランドの株式市場では旅行関連株が急落している。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は25日、中国の当局や専門家と対応を協議するため、北京に向かっていることを明らかにしている。

<香港は入境禁止措置、世界で検査強化>

これまでに6人の感染が確認された香港の行政政府は、湖北省の住民のほか、過去14日間に同省を訪問した人の入境を27日から禁止すると発表した。香港の住民は対象外となる。

マカオも、湖北省から到着した人を対象に、香港と同様の禁止措置を導入した。ウイルスに感染していないことを証明できた人は対象外となる。

海南省の海口市も、湖北省からの観光客を14日間隔離する方針を示した。

武漢市のある住民は「湖北省の人が差別されている」とソーシャルメディアのウェイボ(微博)に投稿している。

香港ではテーマパークの香港ディズニーランドと香港海洋公園(オーシャンパーク)が26日閉鎖された。

感染は他国でも確認されており、世界の衛生当局は一段の感染拡大を阻止しようと対応を急いでいる。

中国以外ではこれまでに日本、タイ、オーストラリア、米国、フランス、カナダなどで患者が確認されているが、今のところ死者は報告されていない。

オーストラリアは27日、国内5例目の感染を確認した。中国による旅行禁止前の最後の武漢─シドニー便に搭乗した女性とみられる。

世界の空港は中国からの乗客の検査を強化しているが、衛生当局者や専門家からは、この取り組みの効果を疑問視する声もある。

フランス、イタリア、日本、米国はいずれも国民を武漢から帰国させるために取り組んでいると明らかにした。

米国務省は、武漢の領事館職員を米国に帰国させると発表。日本も、武漢市に滞在する邦人を帰国させるため、チャーター便の手配で中国当局と協力している。

中国のインターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>は27日、感染拡大を防止するため、社員に対し、2月7日まで在宅で勤務するよう指示したことを確認した。

中国で「KFC」や「ピザハット」などのファストフードレストランを展開するヤム・チャイナ・ホールディングスは25日、湖北省武漢市内の数店舗を一時閉鎖すると発表した。感染拡大を防止するためという。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米マイクロソフト、英国への大規模投資発表 AIなど

ワールド

オラクルやシルバーレイク含む企業連合、TikTok

ビジネス

NY外為市場=ドル、対ユーロで4年ぶり安値 FOM

ワールド

イスラエル、ガザ市に地上侵攻 国防相「ガザは燃えて
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    出来栄えの軍配は? 確執噂のベッカム父子、SNSでの…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中