ニュース速報

ワールド

米中、「第1段階」通商合意に署名 中国は農産品など輸入拡大

2020年01月16日(木)09時43分

米中両国は15日、貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名した。一部関税措置を取り下げるほか、中国は米国からモノとサービスの輸入を拡大させる。写真はトランプ米大統領(右)と中国の劉鶴副首相(2020年 ロイター/KEVIN LAMARQUE)

[ワシントン 15日 ロイター] - 米中両国は15日、貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名した。一部関税措置を取り下げるほか、中国は米国からモノとサービスの輸入を拡大させ、1年半に及ぶ米中貿易戦争がようやく休戦に向かう。

両国は昨年12月、第1段階の合意に至った。米国は中国製の携帯電話端末、玩具、ラップトップコンピューターなどに対する関税発動を見送ると同時に、テレビや履物などを含む約1200億ドルの中国製品に対する関税率を15%から7.5%に引き下げることで合意した。ただ第1段階の合意後も、2500億ドルの中国製品に対する25%の関税措置は残るほか、中国も1000億ドルを超える米製品に対する報復関税措置は取り下げない。

トランプ大統領はホワイトハウスで中国の劉鶴副首相らと並び、「われわれは共に過去の過ちを正し、米国の労働者や農家に対し将来的な経済的な正義と安全をもたらす」と述べた。ただ交渉は今後も必要との認識を示した。

今回の合意では、中国が2年間にわたり追加的に少なくとも2000億ドル相当の米国の農産品、モノ、サービスを輸入すると確約。2017年の1860億ドルの輸入がベースラインとなる。

ホワイトハウスが公表した文書によると、中国が示したコミットメントには540億ドルのエネルギー、780億ドルの工業製品、320億ドルの農産品、380億ドルのサービスの追加輸入が含まれる。

今回の合意事項の実施方法を巡る米中間の意見対立は、二国間協議を通じて解決する。この協議はまず事務レベルから始め、トップレベルまで段階的に行う。もし協議で決着しない場合は、関税を含めた制裁のプロセスに入る。

ホワイトハウスの高官は記者会見で、両国の紛争解決プロセスについて、約90日を要するとし、双方が報復措置に動くことを回避するためのものだと説明した。

USTRのライトハイザー代表は記者団に、信頼に基づく協議を通じて適切な行動が取られるなら、両国とも報復には動かないと語った。

中国の習近平国家主席はトランプ大統領に宛てた書簡で、第1段階の合意を歓迎し、トランプ大統領と今後も緊密な連絡を続けていく意向を示した。さらに、米中が対話を通じて相違を解消し、解決策を見いだせることを今回の合意は示していると指摘した。書簡は劉副首相が署名式で読み上げた。

劉氏はまた、中国が第1段階の合意を順守すると言明し、今回の合意は両国だけでなく、世界にとり朗報と指摘。「今回の合意の下、中国国内市場の需要に応じて、中国企業は今後2年で年間400億ドル相当の米農産物を市場状況に基づき購入する」とし、「無論、市場の需要が旺盛であれば、中国企業は購入を拡大する」と述べた。また、米中両国が購入に良好な市場環境を整える必要があるとの認識を示した。

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長はこの日、FOXニュースに対し、合意により米国の経済成長率は2020年と21年は0.5%ポイント押し上げられるとの見方を表明。

ただアナリストの間では、中国が輸入源を他の国から米国に移せるのか疑問が出ている。ロイトホルト・グループ(ミネアポリス)の首席投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は「米中両国にとって交渉は大きく進展した」としながらも、「中国の輸入が大きくシフトする公算は小さい。今回示された目標の達成に大きく期待していない」と述べた。

また、アナリストや専門家の間では、米中の通商摩擦を引き起こした構造的な問題には対応しておらず、世界経済の減速につながった関税が全て撤廃されたわけではないとの声や、達成が難しい輸入目標を掲げているとの指摘がある。

一方、今後の交渉について、トランプ大統領は米中が「第2段階」の合意に達し次第、すべての関税措置を解除すると表明。「第3段階」の合意はないとの見方を示した上で、「交渉の切り札のために関税措置を残すが、第2段階の合意が得られ次第、解除する」と述べた。このほか、それほど遠くない将来に訪中する方針も示した。

米中が第1段階の通商合意に署名したことで緊張緩和への期待が高まり、世界的に株価が上昇するなどの動きが出た。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中

ビジネス

円高につながる金融政策、「一つの選択肢」=赤沢経産
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 2
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 3
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 4
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 10
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中