ニュース速報

ワールド

新NAFTA、労働関連規定の実効性確保が批准の条件=米下院議長

2019年11月20日(水)12時36分

 11月19日、ペロシ米下院議長(写真)は、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を支持するには、労働者に関する規定の実効性確保が条件になるとの立場を示した。写真はワシントンで撮影(2019年 ロイター/Erin Scott)

[ワシントン 19日 ロイター] - ペロシ米下院議長は19日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を支持するには、労働者に関する規定の実効性確保が条件になるとの立場を示した。

ペロシ氏は前週、USMCAについて、トランプ政権との協議で近く合意する可能性があると述べ、年内の下院通過を目指すと表明した。[nL4N27U61X]

しかし、USMCAに批判的な米労働総同盟産別会議(AFL─CIO)のトラムカ会長との会合後、「通商代表部(USTR)代表が米国の労働者のためにUSMCAの実効性を確保すれば、合意できる」との声明を出し、前週の発言からトーンを変えた。声明は同会合に同席した下院歳入委員会のニール委員長(民主党)と共同で出した。

トランプ大統領や政権高官は同日、ラジオ番組のインタビューやソーシャルメディアへの投稿を通じ、USMCA批准に向けペロシ氏や議会への圧力を強めた。

民主党は労働者や環境保護に関する規定の実効性を高めるよう求めているが、政権側はこれを政治的な動きとして拒否している。

トランプ大統領はこの日、ペロシ氏はUSMCA批准法案を「机の上から離す」こともできないとし、「弾劾の票数を確保していないからUSMCAを利用している」だけだと批判した。

ある関係筋によると、ペロシ氏は新たに当選した民主党議員約40人との会合にトラムカ会長を招待した。トラムカ氏は、労組側はメキシコ政府が労働改革を実施・継続する能力があるのかをなお疑問視していると述べ、現在が協議の「最重要」局面だとして結束の必要性を訴えた。

会長は18日に組合員に対し、NAFTAは「労働者にとって災難」だったと強調した上で、ホワイトハウスとの協議に一定の進展はあったものの、USMCAの議会可決への機は熟していないと述べていた。

AFL─CIOの広報担当から入手した発言要旨によると、トラムカ氏は協定批准に向け主要な問題で主張を曲げるよう圧力があると語った上で、譲歩を否定。「新協定が真に実効性があると政権が書面で示せるまで、まだやることはある」と述べた。

ロス商務長官は19日、新協定の環境や労働者保護の規定について、これまでの貿易協定よりはるかに厳しいものを含んでいるとし、「ペロシ議長が議会に上程すれば、圧倒的多数で承認されると信じている」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「オレオ」のモンデリーズ、新AIツールでマーケティ

ワールド

トルコ裁判所、最大野党党首解任求める訴え棄却 株式

ワールド

ユーロ圏総合PMI、10月は17カ月ぶり高水準 サ

ワールド

フランス社会党、週明けに内閣不信任案提出も 富裕層
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 9
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 10
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中