ニュース速報

ワールド

アムネスティがトルコ批判、シリア難民を安全地帯に「強制移動」

2019年10月26日(土)06時41分

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、紛争が終結していないにもかかわらずトルコがシリア北部に設ける「安全地帯」にシリア難民を強制的に移動させていることを明らかにした。トルコ・シリア国境の難民キャンプで9月撮影(2019年 ロイター/GORAN TOMASEVIC)

[イスタンブール 25日 ロイター] - 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは25日に公表した報告書で、紛争が終結していないにもかかわらずトルコがシリア北部に設ける「安全地帯」にシリア難民を強制的に移動させていることを明らかにした。

別の国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」もこの日に公表した報告書で、当局が1月から9月までの間に当局が多くのシリア難民を強制的に拘束し、国外退去させたことを明らかにした。

トルコ国内には現在、内戦を逃れた360万人近いシリア難民が居住。トルコ政府はこうした難民のうち最大200万人をシリア北東部に設ける安全地帯に移住させる考えで、これまでに35万人を超える難民が自主的にシリアに戻ったとしている。

ただアムネスティは、自主的にシリアに戻るとする書類に署名するようトルコ警察に強要されたと難民から訴えがあったと報告。「戦争地帯に強制的に送還することで、トルコはシリア難民の生命を危険にさらしている」とした。

トルコ外務省の報道官は同日、トルコは国際法に従い難民に対するあらゆる責任を果たしていると指摘。報告書の主張を「虚偽かつ想像上のもの」とした上で、国際社会はシリア難民の安全な送還促進に向け積極的に取り組む必要があると述べた。

トルコとロシアは今週、シリア北東部のクルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」をトルコ国境から30キロ、シリア側に離れた地点まで退去させ、退去後の「安全地帯」を共同で警備することで合意。トルコ内のシリア難民が「安全で自主的に」シリアに戻れるようにするとした。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中