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カナダ総選挙、トルドー首相続投 過半数届かず他党協力必要に
10月22日、カナダで21日に実施された下院議会選挙(定数338議席・小選挙区制)は、中道左派の与党自由党が第1党を維持し、トルドー首相(写真左)が続投する見通しとなった。同日モントリオールで撮影(2019年 ロイター/Carlo Allegri)
[モントリオール/オタワ/ワシントン 22日 ロイター] - カナダで21日に実施された下院議会選挙(定数338議席・小選挙区制)は、中道左派の与党自由党が第1党を維持し、トルドー首相が続投する見通しとなった。ただ、単独過半数には届かず、今後は他党との協力が必要になるなど政権運営に不安を残す格好となった。
暫定結果によると、自由党は338選挙区(議席)のうち157選挙区(議席)で勝利。議席数は従来から20議席減らし、過半数の170議席を大きく割り込んだ。
一方、投票前の世論調査で支持率が自由党と拮抗していた野党・保守党は獲得議席が121議席と、選挙前から24議席上乗せしたものの伸び悩んだ。
得票率では自由党33.1%、保守党34.4%と保守党が自由党を上回った。
トルドー首相は22日未明、東部ケベック州モントリオールで支持者に勝利宣言した。
トランプ米大統領は、トルドー氏の勝利を祝福し「よりよい両国に向けて共に取り組むことを楽しみにしている」とツイッターに投稿した。
ホワイトハウスの声明によると、トランプ氏は22日、トルドー氏に電話でも祝意を伝えた。
2015年に政権を発足させた際はカリスマ性を持つ政治家と評されたトルドー氏だが、今回は、大手建設会社の贈賄事件への司法介入疑惑や人種差別的と受け取られる昔の写真が公開されるなどして支持率が低下し、苦しい戦いとなった。
トルドー政権の環境政策への反発が強かったアルバータ州とサスカチュワン州では、ソーヒ天然資源相とグッデール公共安全相がそれぞれ落選した。
少数与党となる自由党は、左派寄りの新民主党(NDP)との連携を探るとみられる。
NDPは、住宅や医療保険といった分野への支出拡大など優先課題への取り組みを推進することが可能になる。
NDPのシン党首はトルドー氏と話をしたことを明らかにし「優先事項の実現に向けて努力する」決意を示した。NDPは、選挙前から16議席減らしたものの、24議席を獲得しており、次期トルドー政権に大きな影響力を持つことになる。
マンレー元財務相は「NDPの支援を受けた自由党政権は一段と左寄りになる」と予想。今後、NDPがどのような要求をつきつけてくるか、自由党がどの程度の譲歩を迫られるかが問題で、その点がはっきりするまで企業は動きにくいだろうと述べた。
カナダでは少数与党政権が2年半以上もつ例はほとんどない。自由党は少数与党だった1972ー74年と2005年にNDPの協力を得ている。
このほか、フランス語圏のケベック州では、ブロック・ケベコワが躍進。2015年の前回選挙の3倍以上となる32議席を獲得する見込み。また緑の党も健闘した。
選挙結果を受けてカナダドル
パーパス・インベストメンツ(トロント)のポートフォリオ・マネジャー、グレッグ・テイラー氏は「市場は不確実性を好まない。したがって、連立政権がどのような政策を打ち出せるか、どれほど持続性があるかにかかっている」と指摘。
「より重要な問題は、カナダ国民がこれほど分断したことはこれまでにないということ。次期政権はそれを是正することが求められる」と語った。