ニュース速報

ワールド

カナダ総選挙、トルドー首相続投 過半数届かず他党協力必要に

2019年10月23日(水)10時25分

 10月22日、カナダで21日に実施された下院議会選挙(定数338議席・小選挙区制)は、中道左派の与党自由党が第1党を維持し、トルドー首相(写真左)が続投する見通しとなった。同日モントリオールで撮影(2019年 ロイター/Carlo Allegri)

[モントリオール/オタワ/ワシントン 22日 ロイター] - カナダで21日に実施された下院議会選挙(定数338議席・小選挙区制)は、中道左派の与党自由党が第1党を維持し、トルドー首相が続投する見通しとなった。ただ、単独過半数には届かず、今後は他党との協力が必要になるなど政権運営に不安を残す格好となった。

暫定結果によると、自由党は338選挙区(議席)のうち157選挙区(議席)で勝利。議席数は従来から20議席減らし、過半数の170議席を大きく割り込んだ。

一方、投票前の世論調査で支持率が自由党と拮抗していた野党・保守党は獲得議席が121議席と、選挙前から24議席上乗せしたものの伸び悩んだ。

得票率では自由党33.1%、保守党34.4%と保守党が自由党を上回った。

トルドー首相は22日未明、東部ケベック州モントリオールで支持者に勝利宣言した。

トランプ米大統領は、トルドー氏の勝利を祝福し「よりよい両国に向けて共に取り組むことを楽しみにしている」とツイッターに投稿した。

ホワイトハウスの声明によると、トランプ氏は22日、トルドー氏に電話でも祝意を伝えた。

2015年に政権を発足させた際はカリスマ性を持つ政治家と評されたトルドー氏だが、今回は、大手建設会社の贈賄事件への司法介入疑惑や人種差別的と受け取られる昔の写真が公開されるなどして支持率が低下し、苦しい戦いとなった。

トルドー政権の環境政策への反発が強かったアルバータ州とサスカチュワン州では、ソーヒ天然資源相とグッデール公共安全相がそれぞれ落選した。

少数与党となる自由党は、左派寄りの新民主党(NDP)との連携を探るとみられる。

NDPは、住宅や医療保険といった分野への支出拡大など優先課題への取り組みを推進することが可能になる。

NDPのシン党首はトルドー氏と話をしたことを明らかにし「優先事項の実現に向けて努力する」決意を示した。NDPは、選挙前から16議席減らしたものの、24議席を獲得しており、次期トルドー政権に大きな影響力を持つことになる。

マンレー元財務相は「NDPの支援を受けた自由党政権は一段と左寄りになる」と予想。今後、NDPがどのような要求をつきつけてくるか、自由党がどの程度の譲歩を迫られるかが問題で、その点がはっきりするまで企業は動きにくいだろうと述べた。

カナダでは少数与党政権が2年半以上もつ例はほとんどない。自由党は少数与党だった1972ー74年と2005年にNDPの協力を得ている。

このほか、フランス語圏のケベック州では、ブロック・ケベコワが躍進。2015年の前回選挙の3倍以上となる32議席を獲得する見込み。また緑の党も健闘した。

選挙結果を受けてカナダドルはほぼ変わらずで3カ月ぶり高水準付近で推移している。

パーパス・インベストメンツ(トロント)のポートフォリオ・マネジャー、グレッグ・テイラー氏は「市場は不確実性を好まない。したがって、連立政権がどのような政策を打ち出せるか、どれほど持続性があるかにかかっている」と指摘。

「より重要な問題は、カナダ国民がこれほど分断したことはこれまでにないということ。次期政権はそれを是正することが求められる」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ基調指標、10月の刈り込み平均値は前年比2

ワールド

米民主党上院議員、核実験を再開しないようトランプ氏

ビジネス

ノボノルディスクの次世代肥満症薬、中間試験で良好な

ワールド

トランプ氏、オバマケア補助金延長に反対も「何らかの
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中