ニュース速報

ワールド

米大統領、記者失踪でサウジ擁護 国務長官は国王らと会談

2018年10月17日(水)11時59分

 10月16日、サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の失踪を巡り、トランプ米大統領は、すべての事実が判明する前にサウジを非難する動きがあると指摘し、サウジを擁護する姿勢を示した。写真はカショギ氏の写真を掲げてイスタンブールにあるサウジの総領事館の前で抗議する人権活動家ら。8日撮影(2018年 ロイター/Murad Sezer/File Photo)

[ワシントン 16日 ロイター] - サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の失踪を巡り、トランプ米大統領は16日、すべての事実が判明する前にサウジを非難する動きがあると指摘し、サウジを擁護する姿勢を示した。

大統領はAPのインタビューで「何が起きたのかまず究明する必要がある」とし、「またしても無実と証明されるまで有罪という状況だ。これは好ましくない」と語った。

大統領はこれより先、「サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とたった今、話をした。皇太子は(カショギ氏の行方が分からなくなった)トルコのサウジ総領事館で何が起きたのか知らないと言明した」とツイッターに投稿。「(皇太子は)徹底的な捜査を既に開始しており、捜査を急いで拡大する意向も示した。間もなく答えが出るだろう」と続けた。

一方、ポンペオ米国務長官は16日、サウジを訪問し、サルマン国王やムハンマド皇太子と会談。「全容を究明し、サウジの指導者や高官も含め、説明責任を果たすことにサウジ側が真剣に取り組んでいると、これらの会合により判断した」とする声明を発表した。

国務長官は17日にトルコに向かう。

米国内では、共和党のリンゼー・グラム上院議員がサウジ皇太子を「有害な」人物と批判。共和党のジェブ・ヘンサリング下院金融委員長もロイターに対し「国家が認めた暗殺だとすれば、サウジとの関係を根本的に見直す必要が出てくる。それは間違いない」と述べた。

主要7カ国(G7)外相は、カショギ氏の失踪を「非常に憂慮」しており、サウジが「表明した通りに徹底的で信頼の置ける、透明かつ迅速な捜査」を行うことを期待するとの声明を発表した。G7がこうした声明を出すのは異例。

トルコのエルドアン大統領はサウジ総領事館での捜査について、カショギ氏失踪後に一部の壁が塗り直された可能性があると指摘し、毒物などの捜査も行っていると明らかにした。

トルコ治安筋は、前夜に行った総領事館の捜索で「確度の高い証拠」が得られたとしたが、カショギ氏殺害を決定づける証拠はなかったと述べた。また、サウジ総領事が16日にトルコを離れ、リヤドに戻ったことを明らかにした。

こうした中、企業の間ではサウジで23日から開催される経済投資フォーラム「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」への参加を見送る動きが相次いでいる。

この日は新たにロンドン証券取引所、HSBC、スタンダード・チャータード、クレディ・スイスの各CEOやBNPパリバの会長が欠席する意向を示した。

金融市場ではサウジの通貨リヤルが2年ぶり安値から持ち直した。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア「H20」は安全保障上の懸念=中国国営

ワールド

中国、米にAI向け半導体規制の緩和要求 貿易合意の

ワールド

北朝鮮、軍事境界線付近の拡声器撤去を開始=韓国軍

ワールド

米、金地金への関税明確化へ 近く大統領令=当局者
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 2
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋肉は「光る電球」だった
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 5
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 6
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 7
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 8
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中