アングル:ECB総裁の早期退任報道、市場は静観 政治配慮なら信認に影響も
写真は欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁。ドイツ・フランクフルトで2025年12月撮影。REUTERS/Heiko Becker//File Photo
Yoruk Bahceli Harry Robertson
[ロンドン 18日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が早期に退任するとの報道を受け、18日の市場では、トレーダーらが今後の金融政策にどのような影響を与えるか見極めようとしていた。今のところ、市場はECBが年内は政策を据え置くとの見方を堅持しているが、一部のアナリストは、総裁が政治的な理由で早期に退任すれば、中銀の信認に悪影響を与えると指摘している。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は18日、ラガルド総裁が2027年10月の任期満了前に退任する予定だと報じた。
これによりラガルド総裁の後任候補を巡る種々の観測が浮上し、ECBの金利据え置き観測にも潜在的な不確実性をもたらすことになる。
しかしアナリストや投資家は、インフレは抑制されており、後任者も同様の政策方針を踏襲する可能性が高いため、ラガルド総裁が早期に退任しても当面の金融市場への影響は小さいと指摘した。
チューリヒ保険グループのユーロ圏市場戦略責任者、ロス・ハッチソン氏は「ラガルド氏の退任の可能性が市場の不確実性を大きく高めるとは思わない。独創的で非伝統的な政策が常に特徴だった(マリオ)ドラギ時代とは違う」と述べた。
この日のトレーダーの金利予想はほぼ変わらず、市場は依然としてECBが年末まで金利を据え置くと広く予想している。ECBの金利予想に敏感なドイツ2年国債利回りは変わらずの2.06%前後で推移した。
ラガルド総裁は理事会メンバーの中で、前任者のドラギ氏と比べてより穏健な役割を果たしていたため、投資家は後任者の下でもそれが継続されるかどうかを見極めようとしている。
主な後継候補として、オランダ中央銀行前総裁のクラース・ノット氏や、国際決済銀行(BIS)のパブロ・エルナンデス・デコス総支配人(スペイン中央銀行前総裁)らの名前が挙がっている。
ピクテ・ウェルス・マネジメントのマクロ経済調査責任者フレデリック・デュクロゼ氏は、ノット氏は「実利的なタカ派」、デコス氏はよりハト派とみられているものの、両者ともバランスの取れた人物像を示しており、政策の継続性は確保されるだろうと述べた。
ノムラの欧州担当シニアエコノミスト、アンジェイ・シュチェパニアック氏も「ラガルド氏の後任が誰であれ、ECBの運営方法を根本的に転換したり変更したりする可能性は低い」と語った。
FTによると、ラガルド氏早期退任の理由はマクロン仏大統領がECB総裁の後任選びに関与できるようにするためという。マクロン氏は3期目には出馬できず、27年春のフランス大統領選挙では極右政党「国民連合」が政権を握る可能性がある。極右候補が勝利した場合、次期ECB総裁の人選が複雑になることが懸念されている。
一部のアナリストは、ECBが新政権に有力な経済高官の選出に関する発言権を与えないと受け止められれば、ECBの信認が損なわれる可能性があると指摘した。
これより先、フランス銀行(中央銀行)は9日、ビルロワドガロー総裁が任期を1年以上残して6月に退任すると発表した。
関係筋によると、退任の時期は意図的で、中銀の継続性を確保するとともに、極右政権下で後任を選んだ場合に生じる可能性のある市場の動揺を回避することが狙いだという。
ピクテのデュクロゼ氏は、「ラガルド氏には、ECBをポピュリストの政治的圧力から守るという名誉ある意図があるかもしれないが、その決定を正当化するのは難しいだろう。これは取る価値のあるリスクなのかどうか分からない」と述べた。





