ニュース速報
ビジネス

日銀12月議事要旨、国債以外の資産買い入れ取り扱いやマイナス金利解除議論、慎重論も

2024年01月26日(金)10時12分

日銀が26日に公表した議事要旨によると12月18─19日に行われた金融政策決定会合では、国債以外の資産買い入れの見直しについて前向きな意見が出ていたことがわかった。写真は都内の日銀本店で2016年9月撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)

Yoshifumi Takemoto

[東京 26日 ロイター] - 日銀が26日に公表した議事要旨によると12月18─19日に行われた金融政策決定会合では、国債以外の資産買い入れの見直しについて前向きな意見が出ていたことがわかった。現行のマイナス金利や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)解除とその後の政策運営について活発な議論が行われた一方で、賃上げの見通しなどについては慎重な声もあり、これらの政策の解除のタイミングについて様々な意見が確認された。

<資産買い入れ取り扱い、市場影響配慮しつつ検討すべき─ある委員>

議事要旨によると、ある委員は 長期国債以外の資産(ETF・上場投資信託やREIT・不動産投資信託)買い入れについて、「経済・物価情勢が改善傾向にあることを踏まえると、取り扱いについて市場への影響にも配慮しすつ検討すべき」と述べた。

委員らはマイナス金利やYCCの枠組みを解除したあとも、当面は大幅な金融緩和を継続していく可能性が高いとの見解を示した。

一人の委員は現行の政策について「一定の政策修正をおこなっても目標の実現が見通せる場合には修正を許容するもの」と説明した。

<マイナス金利解除は総合判断>

委員らは、マイナス金利やYCC解除を検討する際、どのような手段をどのような順序で用いるのが適当かについては、その時点での経済・物価・金融情勢を踏まえて判断する必要があるとの認識を共有した。

多くの委員は、これら解除の判断には「賃金と物価の好循環を確認し、物価目標の持続的・安定的な実現が見通せるようになる必要がある」と指摘した。

解除判断について、何人かの委員は「労使交渉での賃上げ率や各種指標といった特定の数値でなく、総合的な判断が必要」との見解を示した。

一人の委員は「2024年の賃金上昇率は23年を上回る可能性が高い」と述べたが、複数の委員は「収益や業況感が大幅に改善している業種でも、ベアの引き上げを避ける先がみられるなど、楽観はできない」と述べた。

<YCC柔軟化で副作用生じにくい>

一人の委員は、金融正常化の「タイミングは近づいている」としたうえで「物価高が消費の基調を壊し、(物価)目標の実現を損なうリスクを避けるためにも、タイミングを逃さず政策修正を図るべき」と指摘。「物価が過度に上振れ急激な引き締めが必要となるリスクは小さいが、リスクが顕在化した場合のコストは甚大」と警告した。

一方、一人の委員は「前回会合でのYCC運用柔軟化で、(現行の金融緩和の)副作用が生じにくくなっていることを踏まえると、賃金と物価の好循環の見極めは十分な余裕をもって行うことができる」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替介入9.7兆円 財務省が4─5月の実績発表 2

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部ジャバリアで作戦終了 空爆2

ビジネス

ECB、複数回の利下げでも金融政策は制約的=イタリ

ビジネス

中国恒大の本土部門に罰金5.77億ドル、債券不正発
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」

  • 2

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 3

    F-16はまだか?スウェーデン製グリペン戦闘機の引き渡しも一時停止に

  • 4

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 5

    地球の水不足が深刻化...今世紀末までに世界人口の66…

  • 6

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 7

    「人間の密輸」に手を染める10代がアメリカで急増...…

  • 8

    国立大学「学費3倍」値上げ議論の根本的な間違い...…

  • 9

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 10

    EVと太陽電池に「過剰生産能力」はあるのか?

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中