ニュース速報

ビジネス

タイ中銀、予想外の利上げ 24年の成長予測を上方修正

2023年09月27日(水)20時43分

 9月27日 タイ中央銀行は27日、主要政策金利の翌日物レポレートを予想外に25ベーシスポイント(bp)引き上げ2.50%とした。写真は2016年4月、バンコクで撮影(2023年 ロイター/Jorge Silva)

Orathai Sriring

[バンコク 27日 ロイター] - タイ中央銀行は27日、主要政策金利の翌日物レポレートを予想外に25ベーシスポイント(bp)引き上げ2.50%とした。海外経済の不透明感が強いものの、来年は経済成長が上向きインフレ圧力も強まると予想した。

利上げは全会一致で8会合連続。

中銀は、政策金利は「中立的」水準に達し、タイ経済の長期的かつ持続可能な成長を支えるのに適切だと説明した。

声明で「金融政策ではインフレ率を持続的に目標レンジ内に維持し、マクロ・金融の長期的安定を促すことを目指すとともに、不透明な見通しを踏まえ十分な政策余地を確保する必要がある」と述べた。

ロイター調査では27人中21人が金利据え置き、6人が25bpの利上げを予想していた。

中銀は昨年8月以降、計200bpの利上げを実施。

エコノミストは今回の利上げについて、1年に及んだ引き締めサイクルの終了を意味する可能性があるとみている。

OCBCは、中銀は新政府の景気刺激策に伴う将来のインフレに先手を打ったとの見方を示した。

キャピタルエコノミクスは、インフレ率が予想を下回り、景気回復への逆風が強まる中、来年まで金利は据え置かれると予想した。

予想外の利上げを受け、バーツは下げ幅を縮小し、0.5%安の1ドル=36.53バーツ。年初来では5%超下げている。

中銀のピティ総裁補は記者団に対し、バーツ安は利上げの主な要因ではないと述べ、バーツはドル高で強い圧力にさらされる他のアジア通貨と同様に推移していると説明した。

<来年の成長・物価予想を引き上げ>

中銀は今年の経済成長予測を3.6%から2.8%に下方修正。来年の経済成長予測は3.8%から4.4%に上方修正した。昨年の実績は2.6%。

「今年は外需低迷でペースが鈍化したものの、タイ経済全体の回復は続いた。来年は内需を背景に経済成長が上向くだろう。観光産業の安定した回復とモノの輸出の改善、政府の政策による追加支援が下支え要因になる」としている。

外国人観光客の予想は今年2850万人、来年3500万人。従来予想はそれぞれ2900万人、3550万人だった。新型コロナウイルス流行前の2019年は4000万人近かった。

今年の総合インフレ率の予測は2.5%から1.6%に下方修正。来年の予測は2.4%から2.6%に上方修正した。

コアインフレ率の予測は今年が1.4%、来年が2.0%。従来予測はともに2.0%だった。

8月の総合インフレ率は0.88%で、中銀の目標レンジ(1─3%)を下回った。コアインフレ率は0.79%だった。

輸出の予測は今年が1.7%減、来年が4.2%増。従来予測はそれぞれ0.1%減、3.6%増だった。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:気候変動で加速する浸食被害、バングラ住民

ビジネス

アングル:「ハリー・ポッター」を見いだした編集者に

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中