ニュース速報

ビジネス

米金融不安、銀行業界の関心は中期的な成長鈍化に移行

2023年03月28日(火)12時50分

地銀2行が経営破綻し、小規模行で記録的な預金流出が起きた後、米銀行業界の関心は目先の危機から経済成長の鈍化という中期的な懸念へと移りつつある。写真は米ニューヨークのロックフェラーセンター展望台からマンハッタンの景色を人々で2022年6月撮影(2023年 ロイター/Athit Perawongmetha)

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 地銀2行が経営破綻し、小規模行で記録的な預金流出が起きた後、米銀行業界の関心は目先の危機から経済成長の鈍化という中期的な懸念へと移りつつある。

米連邦準備理事会(FRB)が24日発表したデータによると、シリコンバレー銀行が経営破綻した10日以降、国内小規模行の預金は1190億ドル減と過去最大の落ち込みを記録した。

ゴールドマン・サックスのアナリストチームは国内総生産(GDP)に触れたメモで、「米銀行システムのストレスが信用の伸びを鈍らせ、GDPの実質的成長率を押し下げる」と予想。首席エコノミストのジャン・ハッチウス氏は、顧客の預金保護に対する政府の姿勢が明確でないため、金融市場は依然として不安定な状態だと指摘した。

アポロ・グローバル・マネジメントの首席エコノミストのトーステン・スロク氏はノートで、顧客が資金を当座預金口座から政府の預金保険の付いた口座であるマネーマーケット預金口座に移動させており、消費支出は減少するだろうとの見通しを示した。

米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は26日のCBSの番組で、最近の銀行セクターへのストレスとそれによって起こり得る信用収縮が、米経済を景気後退(リセッション)に近づけると警告した。

一方、バークレイズのアナリストは先週のノートに、金融環境の引き締まりは経済活動にとって大きな圧力になるが、「本格的な信用危機」が起きない限り破滅的な状況にはならないと書いた。

バンク・オブ・アメリカのアナリストはノートで「銀行システムへのストレスは引き続き強いが、安定の兆しもいくらかうかがえる。銀行向け緊急流動性供給の伸びは鈍化しているようだ」と分析した。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中