ニュース速報

ビジネス

物言う投資家ブルーベル、ブラックロックCEO退任要求

2022年12月07日(水)15時02分

 12月6日、ロンドン拠点の小規模な物言う投資家、ブルーベル・キャピタル・パートナーズの幹部2人が世界最大の資産運用会社である米ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO、写真)に11月10日付で書簡を送り、退任を要求していた。写真はニューヨークで11月撮影(2022年 ロイター/David 'Dee' Delgado)

[6日 ロイター] - ロンドン拠点の小規模な物言う投資家、ブルーベル・キャピタル・パートナーズの幹部2人が世界最大の資産運用会社である米ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)に11月10日付で書簡を送り、退任を要求していた。ブラックロックの環境・社会・統治(ESG)投資重視が実態はグリーンウオッシュ(見せかけ)に陥りかねない状態で、フィンク氏が迷走の張本人だと批判している。

ロイターが今週6日書簡を確認した。ブルーベルは2019年創業で運用資産は約2億5000万ドル。ブラックロックの運用資産は10兆ドルを上回り、長くCEOとして君臨するフィンク氏は政財界のご意見番的な存在だ。

書簡はブラックロックがESG投資重視をうたい、気候変動やエネルギー関連の政策を巡り世論に影響を与え得る世界最強の運用会社としての立場も利用しながら、実際には戦略の後押しを怠っていると批判。そうしたギャップが顧客の離反を招き、ESGへの思わぬ悪評を看過できないほどにかき立てていると糾弾している。

ブルーベルはこれまでに英医薬品グラクソスミスクラインやスイスの資源グレンコア、フランスのメディア・通信ビベンディ、フランスの食品ダノンなどの大手企業にアクティビストファンドとして対峙。ダノンではエマニュエル・ファベールCEOの解任劇につながった。ただ、ベルギー化学企業ソルベイにCEO解任の圧力をかけた際など、ブラックロックが支持しなかった事例は幾つかある。

フィンク氏はたびたび米政権閣僚候補にも取り沙汰され、ブラックロック幹部陣は政策立案者の相談をしばしば受けてきた。フィンク氏は毎年1月、投資家宛てにCEOからの書簡を送っており、企業に対しては利益市場主義ではない大義が必要だと訴えてきた。

ブラックロックは逆にESG戦略の必要を認めない米共和党側から資金引き揚げなどの逆風にもさらされている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中