ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、金利0.25%に据え置き 近い将来の利上げ示唆

2022年01月27日(木)05時36分

カナダ銀行(中央銀行)は26日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を過去最低の0.25%に据え置いた。2017年5月撮影(2022年 ロイター/Chris Wattie)

[オタワ 26日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は26日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を過去最低の0.25%に据え置いた。ただ、経済のスラック(需給の緩み)は完全に吸収されたとの認識を示したほか、インフレ率は予想よりも長期にわたり高止まりするとし、近く2018年以降で初となる利上げに踏み切る姿勢を示した。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、中銀は20年3月以降、3回の利下げを実施。これまでは金利を低水準にとどめると確約していたが、今回はこうした確約は行わなかった。

中銀は声明で「将来的に金利は引き上げられる必要があると予想している。引き上げのタイミングとペースは、2%に設定しているインフレ目標の達成に向けた中銀のコミットメントに導かれる」とした。

同日発表した1月の金融政策報告書では「労働市場に関する指標、企業信頼感に関する調査、コアインフレ指標を含む広範な指標は、経済のスラックが現在吸収されていることを示唆している」と指摘した。

マックレム総裁は記者団に対し「メッセージはかなり明白だ。われわれは利上げの軌道に乗っている」としたが、「(利上げは)自動的なものではなく、毎回の会合で政策金利を決定していく」と発言。国債保有額の削減については「利上げしたら、再投資の段階を脱し、少なくとも一部のカナダ国債をバランスシートから吐き出すことを検討する」と述べた。

その後、数回の利上げが必要になるとの見方を表明。ただ、中銀は数歩進んだ後、進捗具合を検証するために休止する可能性があるとの見方を示した。

中銀はインフレ率について、22年上半期を通して5%近辺に高止まりし、年末までに3%近辺に低下すると予想。22年の平均インフレ率見通しを4.2%と昨年10月時の3.4%から引き上げた。一方で、23年には2.3%に鈍化し、24年は2%目標近辺で推移するとした。10月時点では、22年末までには2%近辺に低下するとの見方を示していた。

中銀は新型コロナのオミクロン株の感染拡大で世界的な経済活動が鈍化しているとして、国内経済成長率見通しも下方修正。21年で4.6%、22年で4.0%とそれぞれ10月時の5.1%、4.3%から引き下げた。ただ、オミクロン株の影響は一時的なもので、過去の感染拡大の波ほど深刻な影響は及ばないとの見方を示した。

インフレ要因となっているサプライチェーン(供給網)のボトルネックについては22年に解消されると想定。堅調な需要と回復しつつある供給により、予測期間中は力強い成長が見込まれるとした。

カナダでは店頭で販売される食品価格が前年比で約6%上昇。中銀は金融政策報告書で「このような食品価格の上昇は今後も続きそうだ。その結果、カナダ銀行は22年にかけて食品価格のインフレ率が過去の平均を上回ると予想している」とした。

今回の決定会合に先立ち、短期金融市場では0.50%への利上げが決定される確率が約70%であることが織り込まれていた。ただ、ロイターが実施したアナリスト調査では金利据え置きが予想されていた。[BOCWATCH]

今回の発表を受け、短期金融市場が織り込む、3月に0.50%への利上げが決定され年内に少なくとも5回の利上げが実施される確率は約90%となった。

マネックス・ヨーロッパとマネックス・カナダのFX分析部門責任者、サイモン・ハービー氏は、現在のインフレに関する背景と住宅価格の高騰を考慮すると、今回の金利据え置きは「失敗」だったかもしれないと指摘。年内の急な利上げを余儀なくされる可能性があるとした。

カナダの昨年12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年比4.8%と、1991年9月以来、約30年ぶりの高い伸びを記録。中銀が設定するインフレ目標レンジ(1─3%)を9カ月連続で上回った。

次回の政策決定会合は3月2日。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米自動車販売、第1四半期はGMとトヨタが前年比減

ワールド

イラン、恒久的な戦争終結へ停戦保証を要求=高官筋

ワールド

ルッテNATO事務総長が来週訪米、「かねてから予定

ワールド

トランプ政権、鉄鋼・アルミ関税見直しへ=米報道
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中