ニュース速報

ビジネス

日銀が新制度、気候変動対応の投融資を支援 コロナ対策も延長

2021年06月18日(金)14時11分

 6月18日、日銀は17─18日に開いた金融政策決定会合で、新型コロナ対応資金繰り特別プログラムの期限を来年3月末まで延長することを決めた。写真は都内で2014年1月撮影(2021年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 18日 ロイター] - 日銀は17─18日に開いた金融政策決定会合で、気候変動に関連した民間金融機関の投融資を支援する新たな資金供給制度を創設することを決めた。気候変動リスクが中長期的に経済・物価・金融情勢にきわめて大きな影響を及ぼしうるとみて、民間を支えることが長い目で見たマクロ経済の安定につながると判断した。

会合では、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの期限を来年3月まで延長することも決めた。今回の会合が審議委員として最後となる政井貴子氏は、決定の公表文の採決に棄権した。

<金融機関の投融資をバックファイナンス>

気候変動に関する資金供給制度は、7月の決定会合で骨子案を公表し、年内をめどに資金供給を始める。成長基盤強化支援オペの後継と位置づけ、同オペによる新規貸し付けは22年6月で終了する。

市場では、資源配分や市場中立性の観点から日銀の金融政策と気候変動問題には距離があると見られてきたが、日銀は気候変動リスクに金融政策面から対応する方針に舵を切った。日銀は声明文で、金融政策面での対応に当たっては「市場中立性に配慮しながら行うことが重要」と指摘。新制度を通じ、金融機関が自らの判断で取り組む気候変動対応の投融資をバックファイナンスする。

一方、新型コロナ特別プログラムは、棄権した政井委員を除く8名の委員の賛成多数で延長を決めた。同プログラムはコマーシャルペーパー(CP)・社債の増額買い入れと金融機関への特別オペで構成。CP・社債は22年3月末まで合計約20兆円の残高を上限に買い入れを行う。日銀は企業の資金繰りについて「ひところより改善しているが、コロナの影響でストレスが掛かる状況が続く」と指摘した。

<経済持ち直し基調も「不確実性大きい」>

現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策について、賛成多数で現状維持を決定した。

政策金利の目標は賛成7、反対1、棄権1で据え置きを決定した。短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用する。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。片岡剛士委員は長短金利引き下げで緩和を強化することが望ましいとして反対。政井委員は棄権した。

長期国債以外の資産買い入れ規模も据え置き。当面、上場投資信託(ETF)は年12兆円、不動産投資信託(REIT)は年1800億円の残高増加ペースを上限に必要に応じて購入する。政井委員は棄権した。

日銀は声明文で、国内経済について、感染症の影響で引き続き厳しい状態にあるが基調としては持ち直していると指摘。先行きはコロナの影響が徐々に和らいでいくもとで回復していくとみられるものの、「不確実性が大きい」との認識を示した。

当面は感染症の影響を注視し、必要があればちゅうちょなく追加緩和を講じると改めて表明。政策金利は、現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移すると想定しているとした。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

TSMC、熊本県第2工場計画先延ばしへ 米関税対応

ワールド

印当局、米ジェーン・ストリートの市場参加禁止 相場

ワールド

ロシアがウクライナで化学兵器使用を拡大、独情報機関

ビジネス

ドイツ鉱工業受注、5月は前月比-1.4% 反動で予
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「コメ4200円」は下がるのか? 小泉農水相への農政ト…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 9
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 10
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中