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米オークツリー、ブラックストーンの豪クラウン買収案に対抗
[19日 ロイター] - 米投資会社オークツリー・キャピタルは、オーストラリアのカジノ運営会社クラウン・リゾーツが創業者のジェームズ・パッカー氏の保有する37%分の株式を30億豪ドル(23億2000万米ドル)で買い戻す計画に資金提供を行うと提案した。
プライベート・エクイティー(PE)大手ブラックストーンのクラウン買収案への対抗策となる。
ブラックストーンは先月、クラウンに対し80億2000万豪ドル(61億3000万ドル)での買収案を提示した。
クラウンは、オークツリーが資金提供の見返りに何を受け取るかは明らかにせず、ブラックストーンの提案とともに検討中としている。
パッカー氏は経営の第一線から退いているが、その大株主としての立場を巡って昨年、当局の厳しい調査が行われた。2月には、マネーロンダリング(資金洗浄)などへの関与が疑われるとして、同社のシドニーでの賭博免許保持に不適格と判断された。
オークツリーの提案では、パッカー氏の影響力が取り除かれ、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を下回る価格で会社全体を売却することなく、規制当局の懸念を解消することができる。
パッカー氏側は株の売却を前向きに検討する考えを示しており、取締役会の決定を支持する方針。いずれの提案でも、パッカー氏は約30万豪ドルを得られることになる。
ブラックストーンはカジノ企業を買収し、その不動産資産をスピンオフさせて利益を上げた実績を持つ。ただその買収提案はクラウンの企業価値を過小評価しているとして、多くの投資家が支持していない。
インテリジェント・インベスターのポートフォリオ・マネージャー、ネイサン・ベル氏は、オークツリーの支援を受けたクラウンがブラックストーンの戦略をまねて「自ら同様の戦略を取らない理由はない」と述べている。
一方、ホワイト・ファンズ・マネジメントのマネージング・ディレクター、アンガス・グロッキー氏は、オークツリーのエクスポージャーが限定的な一方で他の株主はそうではない今回の提案について、オークツリーが一部事業の保有を望んでいない、あるいは通常の株主以上のリターンを得ようとしている、との見方を示した。
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