ニュース速報

ビジネス

中国5カ年計画、成長目標なしで政策の柔軟性向上=発改委副主任

2021年03月08日(月)16時55分

FILE PHOTO: Residential buildings under construction and a power station are seen near the central business district (CBD) in Beijing, China, January 15, 2021. REUTERS/Tingshu Wang.

[北京 8日 ロイター] - 中国国家発展改革委員会(発改委)の胡祖才・副主任は8日、中国が2021─25年の5カ年計画で経済成長目標を設定しなかった理由について、不確実性が高まっていることに加え、変化により柔軟に対応するための余地を政策当局者に残すためだと明らかにした。

5日開幕の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に当たり公表された5カ年計画では、前回とは異なり、年間平均の成長率目標が盛り込まれず、「(成長を)合理的な範囲」に保つとの文言が使用された。

一方で、政府活動報告では今年の年間成長率目標が6%以上に設定された。新型コロナウイルス流行に伴う世界的な不透明感から昨年は目標が設定されなかった。

胡副主任は全人代開催に伴う記者会見で、その年の成長を予想するほうが容易だとして、今回の5カ年計画の期間中は状況に応じて年間成長目標を設定するとの方針を示した。

副主任は「具体的な数値での(5カ年)成長目標を設定しないことによって、より積極的かつ主動的に、そして気楽にあらゆる種類のリスクに対応できる。これはわれわれの発展の柔軟性を高めるのに資するものだ」と説明。各機関が単に数字上の成長ではなく、成長の質や効率改善に注力することにつながるとした上で、「(向こう5年で)GDP(国内総生産)が一定の水準を維持することにわれわれは自信を持っている」とも語った。

副主任は、2021ー25年の失業、エネルギー原単位、二酸化炭素(CO2)排出原単位に関する目標について、GDPと連動したものだとし、潜在成長率に沿った成長率を目指す方針を示唆した。

副主任は、潜在成長率については明言しなかったが、一部のアナリストは5%前後と推定している。

2021ー25年の失業率の目標は5.5%以内。エネルギー原単位の削減目標は13.5%。

中国の一部の政策顧問によると、指導部が掲げる1人当たりGDPを中進国並みにする長期目標を達成するには、今後15年間で少なくとも年平均4.7%の成長を維持する必要がある。

同じ会見に出席した発改委の寧吉哲・副主任は、2021年の経済成長目標の達成に自信を示し、ロックダウン(都市封鎖)の解除を開始した昨年第2・四半期以降、今年1-2月の国内経済も引き続き安定した回復傾向にあるとの認識を示した。

ただ「厳しく複雑な」世界の見通しなど、2021年の経済にはリスクと課題があるとも指摘。

「国内の景気回復の基盤は、十分に盤石なものではなく、居住者の消費はまだ制限されている。投資の伸びも勢いに欠ける」とし、小規模事業者が多くの問題を抱えていると述べた。

2021年の経済成長率は8%を超えるとの見方が多い。特に第1・四半期は2桁成長が予想されている。ただ、アナリストは比較対象となる前年のGDPが低水準だったことが一因で、回復は依然まだら模様だと指摘している。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EUが2兆ユーロの次期7カ年予算案提示、防衛と競争

ビジネス

再送米経済活動は小幅拡大、物価は上昇 見通しやや悲

ワールド

イラク・クルド自治区の油田にドローン攻撃、施設損傷

ビジネス

再送-〔アングル〕円安への備え進むオプション市場、
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏にも送電開始「驚きの発電法」とは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 5
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 6
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 7
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 8
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 9
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 10
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中