ニュース速報

ビジネス

中国、21年成長率目標は6%以上 都市部で雇用創出へ

2021年03月05日(金)17時18分

中国の李克強首相は、5日開幕した全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で、2021年の国内総生産(GDP)成長率目標を6%を上回る水準に設定したと述べた。写真は演壇に立って同報告を行う李首相と大型スクリーンに映し出された同氏の映像。同日撮影。(2021年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

[北京 5日 ロイター] - 中国の李克強首相は、5日開幕した全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で、2021年の国内総生産(GDP)成長率目標を6%を上回る水準に設定したと述べた。また、都市部で昨年以上の雇用を創出すると表明した。

中国は昨年、新型コロナウイルスの影響で経済成長率目標を設定しなかった。

李首相は「全体的な目標として今年の成長率は6%以上に設定された」と述べ、「この目標を設定するに当たり、経済活動の回復を考慮した」と説明した。

昨年の中国GDPは2.3%増と、主要国で唯一プラス成長を遂げた。

しかし、21年の成長率目標は8%というアナリスト予想のコンセンサスよりかなり低い。

これについて中国国務院(内閣に相当)の顧問らは、成長率目標が保守的となったことは、債務やリスクを適切な水準に抑制しつつ、昨年の新型コロナ危機からの経済安定回帰を図る政府の取り組みを反映していると説明。

<量より質>

国務院の顧問、Yao Jingyuan氏はロイターに対し「今年の成長率が6%を超えることは明らかだ。(この目標は)政府が質の高い成長に焦点を当てることを示す狙いがある」と語った。

成長率目標が低いのは、困難な状況下でも政府が金融引き締めを急ぐという意味ではなく、改革を推し進める余地を確保することが目的だ。

ノムラはリポートで「第1・四半期から第4・四半期までの前期比成長が平均でゼロだったとしても、前年比では6.1%前後になる。政府が今年の成長率を8%付近にしないのは、来年の成長率目標を下げたくないからだ」との見解を示した。

INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、イリス・パン氏は、「非常に低い成長率目標なら、ないも同じだ」と指摘。財政政策の自由度を維持し続けることのほうが成長率目標よりも意味があるとし、予算の多くはハイテク分野の研究・開発および新型コロナ感染再拡大に備えた雇用安定策に向けられるとの見方を示した。

BNYメロン・インベストメント・マネジメントのシニアアナリスト、アニンダ・ミトラ氏は、緩やかな成長率目標を掲げることで、政府は成長の量より質を強調できると指摘。「目標が低いため、多くの地方自治体が財政を拡張しすぎることなく達成できる」と述べた。

JPモルガン・アセットマネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、Chaoping Zhu氏も同様に、成長の量から質への転換を反映しているとの見方を示す。リポートで「長期的な成長余力を拡大するため、より多くの資源が、環境保護や財政健全化など長期イニシアティブに振り向けられることを示唆している」とした。

<雇用創出目標引き上げ>

李首相は、都市部で1100万以上の雇用創出を目指す方針も示した。900万人以上としていた昨年の目標から引き上げ、近年の目標とほぼ一致する水準となった。

景気改善を踏まえ、21年の財政赤字はGDP比約3.2%を見込んだ。昨年の見通しはGDP比3.6%以上としていた。

地方政府特別債の発行枠は3兆6500億元(5636億5000万ドル)に設定。こちらも昨年の3兆7500億元を下回った。

新型コロナで打撃を受けた経済を支えるため昨年初めて発行した特別国債については、今年に発行する計画はないとした。

21年の消費者物価指数(CPI)伸び率目標は約3%に設定。昨年は3.5%前後を目標としていた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-〔マクロスコープ〕花見予算1割減、高まる「生

ワールド

NATO、ウクライナ支援の米兵器「全て引き渡し」 

ビジネス

米国株式市場=急落、ナスダック調整入り 中東情勢巡

ビジネス

原油150ドル超を見込むオプション取引活発化、ホル
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 3
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRANG』に託した想い、全14曲を【徹底分析】
  • 4
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 5
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 6
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 7
    トランプが誤算? イラン攻撃延期の舞台裏、湾岸諸国…
  • 8
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中