ニュース速報

ビジネス

中国当局、アリババやテンセントなどに罰金 独占禁止法巡る報告で

2020年12月14日(月)20時25分

 12月14日、中国国家市場監督管理総局(SAMR)は14日、アリババ・グループ・ホールディング、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)出資の閲文集団(チャイナ・リテラチュア)、および深セン豊巣(ハイブ・ボックス)について、独占禁止の観点から過去の案件を適切に報告しなかったとし、それぞれ50万元(約7万6000ドル)の罰金を科すと明らかにした。写真はアリババのロゴ。浙江省の杭州で11月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

[上海/北京 14日 ロイター] - 中国政府は14日、同国の大手インターネット企業に対し、独占禁止法に抵触する行為に関与しないよう警告、今後監視を強めていく方針を示した。

中国国家市場監督管理総局(SAMR)は14日、アリババ・グループ・ホールディング、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)出資の閲文集団(チャイナ・リテラチュア)、および深セン豊巣(ハイブ・ボックス)について、独占禁止の観点から過去の案件を適切に報告しなかったとし、それぞれ50万元(約7万6000ドル)の罰金を科すと明らかにした。

SAMRは、アリババの銀泰商業(インタイム・リテール)を巡る案件やチャイナ・リテラチュアの新麗伝媒(ニュー・クラシックス・メディア)買収などを調査した結果、今回の措置を決定したと説明している。

また、SAMRは14日、ゲーム動画配信の「闘魚」と「虎牙」 の合併を巡り調査していることを公表した。

SAMRは、一部のセクターで市場の支配力強化につながったとみられる案件を調査すると表明。長期にわたるプロセスになり、多数の企業が調査の対象になるとの見通しを示した。

報道を受け、テンセントとアリババの香港上場株は午後に下落。アリババは2.6%安、テンセントは2.9%安で取引を終えた。

中国はハイテク大手の監視強化を打ち出している。過去数年にわたり独占で競争を阻害し、消費者のデータを誤用し権利を侵害するような強大な力を持ったことを問題視している。

先月にはインターネット企業による独占的行動阻止を目的とした規則の草案を発表した。

<初の罰金>

中国では2008年に独占禁止法が施行されたが、インターネット関連企業が、独占禁止法審査への適切な報告を怠ったとして、同法に基づいて罰金の支払いを命じられたのは今回が初めて。

SAMRは、インターネット業界は独占禁止法の対象外ではないと警告。すべての企業が法と規則に厳密に従い、公正な競争を維持するよう促した。

「今回の罰金は、インターネット部門に対する反独占監視の強化を意味する」と強調した。

同国では先月、アリババ傘下の金融会社アント・グループの上場が突然延期となった。当局は同社のオンライン融資事業を調査する意向を示している。

アリババは2014年にインタイム・リテールに6億9200万ドル投資し、17年には26億ドルで非上場化した。同社は中国で29の百貨店と17のショッピングモールを展開している。

チャイナ・リテラチュアは18年8月にニュー・クラシックス・メディアの全株式を取得した。

リフィニティブのデータによると、中国のハイテク業界では今月10日までの10年間で、合計8702件、総額5070億ドルの合併・買収(M&A)などが行われている。

清華大学の研究者Liu Xu氏は「インターネット業界は、過去12年間、反トラスト法審査の対象外となってきた。これが繁栄につながった面もあるが、無秩序な合併や事業拡大で混乱を生み出した面もある」と指摘。

「最もシンプルで、最も反論が少ないケースから着手していけば、反トラスト法を執行する用意があるというシグナルを最も手早く示すことができる」と述べた。

*内容を追加しました

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

法人企業統計、7─9月期設備投資は前年比2.9%増

ビジネス

ハセットNEC委員長、次期FRB議長に指名なら「喜

ワールド

英財務相、予算案巡り誤解招いたとの批判退ける 野党

ワールド

トランプ氏、ホンジュラス前大統領を恩赦へ 麻薬密売
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批判殺到...「悪意あるパクリ」か「言いがかり」か
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中