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中国鉱工業生産、10月は予想上回る コロナ後の回復加速へ

2020年11月16日(月)13時57分

 11月16日、中国国家統計局が発表した10月の鉱工業生産は前年同月比6.9%増加と、7カ月連続で増えた。北京で10月27日撮影(2020年 ロイター/Thomas Peter)

[北京 16日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した10月の鉱工業生産は前年同月比6.9%増加と、7カ月連続で増えた。コロナ危機後の同国経済の急速な回復を示した。

伸び率はロイターがまとめたアナリスト予想の6.5%を上回った。9月は6.9%増だった。

10月の小売売上高は前年比4.3%増で、伸び率は9月の3.3%から加速したが、アナリスト予想の4.9%を下回った。

1─10月の固定資産投資は前年同期比1.8%増。市場予想は1.6%増で、1─9月は0.8%増だった。

1─10月の民間部門の固定資産投資は0.7%減。1-9月は1.5%減だった。民間部門の固定資産投資は、投資全体の60%を占める。

中国では、堅調な輸出を背景に、鉱工業部門が新型コロナウイルス禍から目覚ましい回復を遂げており、個人消費も増加に転じている。

10月の自動車販売は12.5%増。国内旅行も、前年の水準は大幅に下回っているものの、10月の連休で力強く回復した。

第4・四半期の中国経済は、需要・与信の拡大や景気刺激策を背景に回復ペースが加速するとみられている。

キャピタル・エコノミクスはノートで「最新のデータは、中国の広範囲な景気加速が10月も続いたことを示す。政策刺激が引き続き投資や鉱工業生産を押し上げ、実質的な小売り販売の伸びやサービスの活動はコロナ前の水準に戻った」と指摘した。

10月は精錬所や精製所の生産が活発化し、アルミニウムや原油の生産が記録的な水準となった。

会見した国家統計局の報道官は、第4・四半期の経済成長率が第3・四半期から加速すると予測。消費の見通しが改善しており、サービス業にしっかりとした回復の勢いが見られると指摘した。[nL4N2I20S1]

<不動産投資が好調>

国家統計局のデータを基にロイターが算出したところによると、10月の不動産投資は前年同月比12.7%増と、2018年7月以来の高い伸びとなった。9月は12%増だった。

10月の不動産販売(床面積ベース)は15.3%増と、過去3年あまりで最高。新築着工も3.5%増と、前月の1.9%減から増加に転じた。[nL4N2I20T8]

ただ、10月の新築住宅価格は上昇率が鈍化。大都市の一部で導入された不動産規制が響いた。[nL4N2I20W3]

<政策引き締めはまだ>

第2・四半期以降、経済指標が改善傾向にあることや、最近の当局者発言から、中国人民銀行(中央銀行)が政策を引き締め始めるのではないかとの憶測が台頭している。

しかしアナリストは、新型コロナの流行や世界需要に不透明感が根強い中、当局者が急いで既存の刺激措置を縮小することはないとみている。

華宝信託のエコノミストは「内需はなお比較的弱く、政策の引き締めがあれば景気回復に打撃を与えかねない」と述べた。

欧米では新型コロナの感染拡大でロックダウン(都市封鎖)が再導入されている。

楼継偉・元財政相は先週、米民主党のバイデン前副大統領が同国の大統領に就任しても米中貿易摩擦は短期的には緩和されない可能性があるとの見解を示した。[nL4N2HZ14W]

アナリストは、バイデン政権も対中強硬姿勢を維持し、中国による先進技術へのアクセスを引き続き制限する可能性が高いと分析。ただ、トランプ政権よりは攻撃的な姿勢が弱まり、予測可能性が高まるのではないかと指摘している。

第3・四半期の中国の経済成長率は前年比4.9%。2020年の成長率は2%強と、過去30年以上で最低となる見通しだが、他の主要国の成長率を大幅に上回るとみられている。

*内容を追加しました。

ロイター
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