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ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

2020年10月30日(金)00時41分

欧州中央銀行(ECB)は29日の定例理事会で主要な政策変更を見送り、12月に追加対策を講じる可能性を示唆した。写真はラガルド総裁。3月撮影(2020年 ロイター/KAI PFAFFENBACH)

[フランクフルト 29日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は29日の定例理事会で主要な政策変更を見送り、12月に追加対策を講じる可能性を示唆した。理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<サービス業は減速>

製造業の活動は回復を続けているが、サービス業の活動は目に見えて減速している。

<投資を圧迫>

バランスシートの弱体化と経済見通しに関する不確実性の高まりが設備投資を圧迫している。

<慎重な消費者>

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のほか、雇用と収入への予期せぬ影響を踏まえ、消費者は慎重になっている。

<価格圧力の低下>

需要が低迷し、労働・製品市場に大幅なスラック(需給の緩み)が生じる中で、総合インフレ率はエネルギー価格の下落と基調的な価格圧力の低下によって抑制されている。

<経済回復は失速>

ユーロ圏の経済活動は今夏の数カ月間で力強く、ただし部分的かつ不均衡な回復を遂げたが、その後は予想以上に急速に勢いを失っている。

<新型コロナの影響>

新型コロナウイルス感染者の増加とそれに伴う制限措置の強化が経済活動を圧迫しており、目先の見通しは明らかに悪化している。

<さらなる対応の必要性>

理事会は、現時点の経済情勢を分析し、リスクは明らかに下向きに傾いているとの認識で完全に一致した。われわれは、パンデミックと感染拡大、および感染拡大抑制策が経済に及ぼす影響の重大性を認識している。こうした認識を踏まえ、次回理事会で政策措置を調整する必要があるとの見解で一致した。

各チーム、各委員会はすでに作業に取り掛かっている。この調整はECBの政策措置の全てをカバーする。全ての政策措置について、どのような相互作用があるのか、どのような組み合わせが事態への最善の対応になるのか検証する。

<パンデミックへの対応>

現況および将来的な展開に対応するために最大限可能な柔軟性をもって、現時点で利用可能なあらゆる政策措置を利用していく。

ユーロ圏が見舞われた(感染拡大)第1波に、ECBは極めて迅速かつ適切に対応した。一部の人は極めて大規模な対応だったと言うかもしれない。

第2波にも同様に対応する。ただ、一つの政策措置になると想定するべきではない。最善の結果を得るために、全ての政策措置の組み合わせを検証する。

<コロナへの財政対応>

欧州理事会はコロナ危機で協調して対応する方向性を明確に打ち出している。すなわち共同で借り入れを行い、必要な財政支出に貢献している。

現在の状況を鑑み、来年にかけてもそうした努力が継続するよう強く望む。現状や状況の悪化を踏まえると、国レベルでの財政支援が増えても正直驚かない。

<下方リスク>

リスクが明らかに下方に傾いている現在の環境下で、理事会はパンデミックの動向やワクチン展開の見通し、為替レートの値動きなど今後の情報を慎重に評価していく。

<ワクチン>

われわれが(ワクチンに関する言及を声明に)盛り込んだのは、見通しがかなり暗いことが明白なためだ。欧州委員会が昨日指摘した内容を考慮すると、2021年に向けた見通しはおそらく暗い。これはわれわれがワクチン自体に言及しているわけではなく、ワクチンの実用化について述べるためだ。それがうまくいけば制限措置やより悲惨な状態に直面している人々に希望をもたらし、影響を与えることができるだろう。

<2つの焦点>

焦点は2つで、経済の信用の流れを持続させることと、経済回復支援に向け融資条件を好ましい状態で維持することだ。われわれは今後数週間から数カ月以内に発生するであろう様々なショックや展開に対応するために、十分な流動性を確保する必要がある。

また、われわれが有する全ての柔軟性を活用し、今後入手する確かなデータを利用して再調整を図っていく。

<理事会の開催頻度>

(危機中に理事会の開催頻度を増やすかとの質問に対し)リモートワークの利点は、デバイスを使えば簡単に会議を開催できることだ。複数の問題に対処するために非常に短い期間に集まることが可能であり、直近も含め特定の問題に対処した機会がかなり多くあった。

必要な場合、必要な時に非常に簡単に行える。短い期間で会議を行う必要があれば、そうする。そのために準備している。

<経済見通し>

第3・四半期国内総生産(GDP)は明日発表される。上向きのサプライズになるかもしれない。一方で、第4・四半期の数値は下方含みと確信している。

11月は明らかに大幅なマイナス成長になると予想しているが、これは経済が落ち込み、失速し、勢いが鈍化しているというゆっくりとした過程を反映している。これは9月以降に観測されている。

サービス業、消費者信頼感、PMI受注、PMI雇用いずれの経済指標でも、景気減速と勢いの鈍化は9月以降に見られている。

実施される措置を考慮すると11月に悪化するのは明らかだ。

おそらく第4・四半期の数値は下向きになる。マイナス成長になるかは現時点では分からない。11月の制限措置がどのような結果をもたらすのか、どんな影響があるのか、われわれは注視していく。

12月が11月の数値を相殺するのかしないのかを予測するのは非常に難しいが、11月に良好な数値が出ることは全く期待していない。

ロイター
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