ニュース速報

ビジネス

コロナ前の水準回復した日経平均、一時マイナス圏 識者はこうみる

2020年06月04日(木)14時17分

 6月4日の日経平均は強もちあい。2万3000円が意識される水準まで上昇した後は、足踏み状態となっている。写真は都内の証券会社前で2018年9月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 4日 ロイター] - 4日の東京株式市場で続伸して始まった日経平均は、2万3000円が意識される水準まで上昇した後は足踏み状態となり、マイナス転換する場面もみられた。市場関係者の見方は以下の通り。

<みずほ証券 投資情報部部長 倉持靖彦氏>

日経平均はほぼコロナショック前の水準まで回復した。感覚としてはほぼ全値戻しとなるため、利益確定売りが出るのは自然な流れだ。新型コロナウイルスの感染拡大抑制に伴い、各国が経済活動再開に向けて動き始めた。大規模な景気対策も実施されており、経済活動再開への動きが世界的なコンセンサスになりつつある。これまでは思惑で買っていたが、今週は思惑が事実に変わるのを実感できた1週間となったのではないか。

物色も広がっており、出遅れ株にも買いが入るようになった。ただ、物色の拡大は踊り場形成のシグナルでもあるため、当面はもみあいが継続する可能性がある。

一方で、ITや半導体関連ではコロナ前の水準よりもさらに上昇する銘柄がみられる。新型コロナ以降、テレワークの拡大などを受け、より高度な技術が求められるようになった。データセンターや半導体装置にこれまで以上の設備投資が行われるようになり、価格が上がりやすいステージに入りつつある。ポストコロナの産業構造の変化は今後の大きな注目ポイントとなる。

<東海東京調査センター シニアストラテジスト 中村貴司氏>

マーケット関係者の中では、ショートポジションが積み上がった状況から、6月限メジャーSQ(特別清算指数)算出まで高く、日経平均で2万3000円台の相場にというのがコンセンサスになっているが、そうした想定を上回るアップサイド・リスクがあるとみている。

現在は買い戻しが中心で、騰落レシオ、RSIなど過熱感を示すテクニカル指標の異常値を許容している格好だが、実際に2万3000円を回復した場合は、リスクパリティ戦略のファンドも買わざるを得なくなる。さらに、直近の経済指標から景気モメンタムも改善しており、そうなると中長期の運用資金が株式市場に向くことになりそうだ。今は踏み上げを主体とした金融相場の動きだが、業績相場に移行する可能性もある。

短期筋の買い戻しに、これら中長期の資金が流入した場合は、押した場面ではすぐに買いが入るため、そうなると株価は下げにくい。予想外の上昇を考える必要が出てきたといえそうだ。s

<第一生命経済研究所 主任エコノミスト 藤代宏一氏>

日本株は予想外に強い動きとなっている。後付けの理由になるが、景気対策が尽きないという見通しが相当固められてきたからではないか。今回のコロナ危機は自然災害的に発生したため、責任を追及するべき犯人がおらず、困っている人を新しい政策で救おうという話がすんなりと通りやすい。

実際、日本でも特別定額給付金で一律10万円が配られ、一時的に所得が潤う人がいる。そのように考えると、企業収益は落ちるかもしれないが、マクロでみて民間部門は傷つかないというストーリーが少しずつ出てきそうだ。

コロナ「第2波」が来たら、なし崩し的に給付金第2弾、第3弾となっていく可能性もある。政策に対する期待がとてつもなく強い、ということが今の株高の説明付けとして適しているのではないか。株価は3月に底打ちした後、ここまで押し目らしい押し目がなく上昇してきただけに、政策の打ち止め感が出た場合は失速して調整する可能性が高いとみている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米テキサス州洪水の死者32人に、子ども14人犠牲 

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ

ワールド

イスラエル、カタールに代表団派遣へ ハマスの停戦条

ワールド

EU産ブランデー関税、34社が回避へ 友好的協議で
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中