ニュース速報

ビジネス

米求人件数、10月は小売中心に回復 解雇件数急減

2019年12月18日(水)03時44分

12月17日、米労働省が発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が前月の1年半ぶりの低水準から回復したほか、レイオフ・解雇件数が大きく減少した。求人は主に小売業で増加。金融業や製造業でも増加し、労働需要を巡る懸念が緩和する可能性がある。写真は2017年5月、ボストンで(20119年 ロイター /Brian Snyder)

[ワシントン 17日 ロイター] - 米労働省が17日に発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が前月の1年半ぶりの低水準から回復したほか、レイオフ・解雇件数が大きく減少した。求人は主に小売業で増加。金融業や製造業でも増加し、労働需要を巡る懸念が緩和する可能性がある。

10月は求人件数(季節調整済み)が726万7000件と、前月から23万5000件増加。求人率も4.6%と、前月の4.4%から上昇した。

9月の減少分(26万9000件)すべてを取り戻すことはできなかったものの、小売業で12万5000件増加し、全体が押し上げられた。このほか金融・保険業で5万6000件、耐久財製造業で5万件、それぞれ増加した。

ジップ・リクルーターの労働エコノミスト、ジュリア・ポラック氏は今回の結果について「労働需要は枯渇しつつあるとの懸念の解消につながる」と指摘。「求人件数は大きく減少することはなく、むしろ約1年間にわたり安定的に推移したようにみる」と述べた。

求人件数は2018年終盤に763万件とピークを付けた後、今年に入ってからは減少傾向にあった。

ただ10月は採用件数が576万4000件と、前月から18万7000件減少。採用率も3.8%と、前月の3.9%から低下した。

労働省が今月6日に発表した11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から26万6000人増と予想の18万人を超えて増加し、伸びは10カ月ぶりの大きさになった。[nL4N28G391]10月の雇用動態調査で求人件数の回復が確認されたことで、米国の雇用の伸びは11月の雇用統計で確認された通りに堅調に推移する可能性がある。

インディード・ハイアリング・ラボのエコノミスト、ニック・バンカー氏は「労働需要の減少局面は終わりに差し掛かっている可能性がある。来年は求人件数は増加していくと予想される」と述べた。

10月の自発的な離職件数は351万2000件と、前月から4万1000件増加。自発的な離職率は2.3%と、前月から横ばいだった。自発的な離職率は労働市場における信頼感の水準を見極めるために政策担当者やエコノミストが注目している。

レイオフ・解雇件数は176万9000件と、前月から20万2000件減少。国勢調査終了に伴い連邦政府によるレイオフ・解雇が増加したものの、宿泊・飲食サービス業などで減少した。レイオフ・解雇率は1.2%と、1.3%から低下した。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウ協議の和平案、合意の基礎も ウ軍撤退なければ戦

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中